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{{category 真・女神転生 II 覚醒編}}
プレイ日：2002年3月10日
シナリオ・タイトル：幽霊屋敷の決戦（ギデオンバルクの人形完結編）
DM：M上

!!!プレイヤー／キャラクター
榑林／ディートリッヒ＝鷹澤（男、25歳）Ｌｖ３→４、覚醒Ⅰ
　技能：格闘・蟷螂拳３→４
　キャラクターメモ：父はドイツ人、母は日本人のハーフ。蟷螂拳興津流の門下生、技の習得、実践に才能を発揮するが、技術面の向上に対し精神修養面が伴っていないことを師匠に指摘され、門外修行をかねて師匠と片桐探偵事務所長が旧知の間柄にあることから所員として身をおくことになる。
　
ザリ／三軒茶屋　櫂斗（男、18歳）Lv３→４、覚醒Ⅰ
　技能：ハイテク・コンピューター３→４（悪魔召喚プログラムを使いこなし、悪魔との対話、交渉、召喚行使をおこなう）
　キャラクターメモ：必要な時にいなかったり、召喚できなかったりとただのぐうたら所員ではなくなりつつある。造魔素ドリーカドモンの隠匿者で今回のキーキャラである。
　
Y川／神谷　香（女、23歳）Lv３→４、覚醒Ⅰ
　技能：ハイテク・シューティング３→４（西部劇のガンマン的な感じの技能）
　キャラクターメモ：　普段は普通？の関西女であるが、実は、銃をぶっ放すことに生き甲斐を感じるという困った人。彼女は、大ざっぱで少々の事では動じないタイプなので、悪魔が出ようが何が出ようがあまり気にしていない。彼女にとって悪魔は遠慮なく銃をぶっ放せる相手としか考えられていないようだ…。
　
F澤／大空　民男（男、19歳）Lv３→４、覚醒Ⅰ
　技能：超能力・チャネリング３→４（心霊憑依をすることで霊の持つ技を使用する技能）
　キャラクターメモ：心霊治療を生業にと試みたのだが、客がつかず開店休業が続いていたところに片桐探偵事務所長が現れ、スカウトされた。今はその能力を事務所の為に少しでも役立てようと精進している。
　
H田／海山　一人（男、28歳）Lv３→４、覚醒Ⅱ
　技能：格闘・抜刀術３→４、超能力・ESP１
　キャラクターメモ：師匠を深く尊敬している為言いつけに逆らえず探偵事務所に籍をおいているが、この仕事は不本意であまり納得していなかった。しかしいくつかの危地を共にくぐりぬけるうちに他の所員に仲間意識をいだくようになっていく。基本的に戦闘役に徹して捜査にはあまり積極的ではない。テレビや新聞などをほとんど見ないため時事にうとい。

!!!シナリオ概略
　一ヶ月前に栗山の依頼を受けた所員達は、ミヒャエルを怪しいとにらんだ事からヴィクトルの要望通りに、本来渡すはずの人形を渡さずに隠し持つ事にした。（詳細は「ギデオン・バルクの人形」参照）しかし、それはミヒャエルに感知されていた。自分たちを欺こうとした片桐所員に激怒したミヒャエルは片桐探偵事務所に対し報復の陰謀劇を画策し、その第一手として栗山不動産社長、栗山昭二を殺害する。PC達は、ミヒャエルの企てた報復ゲームの舞台に上がることになる・・・。

!プレイレポート：片桐探偵事務所 AM9:40
　出社した所員達は、仕事前のわずかな時間をくつろいでいた。TVを見ていた大空が「最近のワイドショーこの話題ばっかりですね」ともらす。海山、神谷、ディートリッヒ（通称：Ｄ）もその言葉に引かれてTVに目を向ける。女性レポーターが『栗山社長殺害に始まる、栗山不動産関係者連続殺害死体遺棄事件も４人の犠牲者が出ながら、捜査に進展も見られず、なんら犯人の手掛かりが掴めていないと聞きます。それというのも、目撃証言が全くない、犯人の痕跡が見つからない、殺害現場が特定できていないなど…』死体の発見現場付近を歩きながら事件について語っていた。

""大空：１ヶ月前に事務所に依頼を持ってきた事など、思い出した事にしていいんですか？
""ＧＭ：知力チェックをしてみて、成功ならね。
""大空：失敗でした…。
""ＧＭ：栗山社長の名前から、１ヶ月程前に依頼を持ち込んだ人だと思い出せるくらいかな。
""大空：周りの人にその話をふることにして「確か栗山不動産の社長って、１ヶ月ほど前に事務所に仕事持ってきた人でしたよね」
""ＧＭ：成功すれば、その依頼完了後に事務所に報告されている内容に関して知っている事になる。
""神谷：成功「依頼が半分しか達成できんかったゆうやつやろ。館の化け物は退治してんけど、もうひとつの目的の人形は見つからんかったゆう…」
""海山：その依頼の時にこのキャラは別件で事務所にいなかった事にしてあるので、とりあえず横で聞いています。
""Ｄ：この事務所へ来て５日目位の新人という事にしてあるのでその依頼に関しても知らないんで「詳しく聞きたいね、その話」と言って、大空、神谷からその情報を得て「その依頼に参加してる、櫂斗に聞いてみるか」と、櫂斗にふる。
""櫂斗：ぐうたら所員ということで、寝坊遅刻です。まだこの場にはいないという事で…（笑）。
""海山：前回のその依頼に関わった他の所員との連絡は？
""ＧＭ：柊は論文発表で海外へ行っているらしく連絡つかず、安部、豊田は別件で出動中で呼び出してもつながらない。事の詳細を聞くには櫂斗の出社を待つしかない。


!依頼人、吉田弘司
ＧＭ：10時過ぎ、やけに顔色の悪いサラリーマン風の男が事務所を訪れた。所長代理の三田村さんが事務所の脇の方にある衝立で区切られた応接スペースに案内し応対している。そのやりとりは、君たちにも聞こえてくる。その男は吉田弘司と名乗り、「私は栗山不動産の元社員で唯一の生き残っている者です。次は自分の番だ、そう思うと…。なぜ栗山不動産関係の人間ばかりが狙われるのかも心当たりがないので、その調査と私自身の護衛をお願いしたいのです」

""海山：このタイミングでの登場…思いっきり怪しいですね。
""神谷：「前回との関連性があるかを突き止めたいところやな」
""（プレイレポでの前知識に導入での引き、さらにNPC登場での引き、見え見えなんだけど…）
""Ｄ：前回の依頼をこなした後の報告書を見てみる事にします。
""ＧＭ：報告書はこんな感じで提出されてます。

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報告書
件名：佐久間館の亡霊退治
依頼主：栗山昭二（38）不動産経営
依頼内容：先日、相続した館に現われる亡霊の退治と「ギデオン・バルクの人形」の回収
調査員：豊田隆生、三軒茶屋櫂斗、、安部奈津美、クリストファー・柊（所長の友人、今回の依頼の助っ人、若過ぎる所員達のお目付け役らしい）
報告：人形について：イタリアの錬金術師の作成した物、結構な値打ちモノ
栗山氏の会社は経営難に陥っており、人形をミヒャエルに売却することで資金を得ようと考えたらしい。
館の捜索：ゾンビ３体、ガキ１体、ヘルハウンド１匹を倒し、インプ、ハーピーを仲魔にする。書斎にてオカルト研究用の資料を多数発見し、佐久間氏の研究で人形が必要であった事はつかめた。しかし、３日間に及ぶ入念な調査にも関わらず、「ギデオンバルクの人形」なる物は見つからなかった。そのことを栗山氏、ミヒャエル氏に伝えて今回の依頼を完了とする。
報告書作成者：安部奈津美
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""ＧＭ：これ以上の事を知るには、櫂斗自身に直接聞くしかないだろうね。
""櫂斗以外のPC：（無言のプレッシャーが櫂斗を直撃）
""櫂斗：他のPCの怨念を感じますし、そろそろ登場したいんですが…。
""ＧＭ：OK、11時少し前に、事務所に到着という事で。
""Ｄ：到着前に少し進める。三田村さんに「護衛なら、自分の初仕事には調度いいんじゃないですかね」と言う。
""三田村（GM）：「そうね、待機中の海山君、神谷さんで護衛チームとしては万全でしょうし、調査は大空君と櫂斗君を加えれば一通りに対応できるでしょうしね」で、受けるのかな？
""海山：受けるつもりはあるけど、まだ、依頼人には、はっきりと返事しないでおこう。
""ＧＭ：じゃ、櫂斗が事務所に到着した。

!語られた真相と消えた依頼人
『事務所に現われた櫂斗は吉田氏がいる事の状況説明を受けた後、皆に詰め寄られ栗山社長からの依頼を受けた後、任務完了にいたるまでの詳細を求められた』

""櫂斗：報告書通りのことを語りますが、やけに吉田氏の存在を気にしている。
""（なるほど、吉田氏には知られないようにしたいわけだね）
""海山：それなら、吉田氏に「あなたの依頼受ける事になりました。私が護衛チームのリーダーとなるでしょうから、護衛方法について下の喫茶店で打ち合わせましょう」とでも言って、吉田氏をここから連れ出します。
""ＧＭ：了解、海山と吉田氏が事務所より退場しました。
『プレイヤーは櫂斗が人形の隠匿所持者であることを知っているが、キャラはそのことを知らないわけで、その事実を櫂斗が明かすか明かさないかで今後の行動方針、展開が大きく変わることを櫂斗のプレイヤーに説明し、その決断を迫った』

""櫂斗：コンプを起動して人形を取り出してみんなに見せます。そして、栗山社長の依頼の結末の真相を語って聞かせます（「ギデオン・バルクの人形」参照）所長はこの事を知っていて隠匿所持の許可をもらっている事も伝えておく。
""Ｄ：三田村さんに確認をとってもらおう。
""三田村（GM）：「所長と電話がつながったわ」とＤに受話器を渡す。
""Ｄ：「ギデオンバルクの人形の件ですが、隠匿所持に許可出したのは本当ですか？」
""所長(GM）：「本当だ。貴重な物だし、いつか事務所の役に立つ。ヴィクトル氏とのコネも事務所には大きい利益と判断できるしな」
""Ｄ：「今、人形をめぐってこちらで事件がおきていますが…」
""所長(GM）：「現場の善処を期待するよ」
""Ｄ：「人形を失う事になっても、いいんですか？」
""所長(GM）：「その時は、その時だ、仕方あるまい」
""Ｄ：「了解しました、現場の判断で最善を尽くします」と言って電話を切る。

『喫茶店で話を進めていた海山と吉田氏であったが、吉田氏がトイレに立って戻りが遅いのを危惧した海山がトイレを調べに行くと、トイレには吉田氏の姿は無かった。海山は神経を研ぎ澄ませて吉田氏の気配を察知し、それを追いかけてみると外へ向かっていた。そして、外へ出ると気配が薄れ追いかける事は不可能となる。店の人に聞いてはみたが、そんな人が出て行くのは見ていないという。海山は事務所に連絡、皆に駆けつけてもらい調べてもらう』

""大空：アストラルサイト（実体化していない悪魔が見える）を使用
""ＧＭ：この辺りに、それらしい存在は見えない。気配は外へと続き、プツリと途切れている。
""櫂斗：エネミーソナー（悪魔の存在と異界化現象の発生予兆の有無を感知）の反応を見ます。
""ＧＭ：反応無し。

『PC達は事務所に戻り、今後の方針を打ち合わせることにした。連続殺害の実行犯はミヒャエルだろう。人形はヴィクトル氏に渡す、預けるなどの方が安全だろう、吉田氏は本当に栗山不動産の元社員かなど話し合い、まず、現場付近の調査をして、その後、ヴィクトル氏に会いに行こうという事になった。吉田氏に関しては移動中の車の中で櫂斗が調べる事になったが、栗山不動産関係の資料を全く手に入れることが出来ず徒労に終わり、ミヒャエルに関しては前回依頼の証言と出入国記録がないなどから怪しさが増すばかりであった。ミヒャエルが怪しいのはわかるがその正体も掴めないのだ。分かっているのは、ライオネルという魔術師の配下という事だけである』

!現場～空き地
ＧＭ：死体発見現場に到着。そこは、ただの空き地です。ドラえもんで出てくるような感じの空き地で、ジャイアンがリサイタルをしていたような場所をイメージしてください（笑）。そこに、たて看板が立っていて『売り地、栗山不動産』と書かれていて、電話番号も書かれているが現在は繋がらないだろうね。

""海山：何か手掛かりになるような痕跡とかはありますか？
""ＧＭ：ってことは、空き地に踏み込んだ、ということでいいのかな？　他の人は？
""神谷、大空、櫂斗、Ｄ：入りました。
""ＧＭ：じゃ、全員、直観チェックをして、成功した人には、入り込んだ瞬間に空気の幕を突き抜けた感覚がしてゾクゾクっとする。そして空気自身が変質したような、空気が奇妙に肌にまとわりつくような、そんな感じがする。失敗した人は、何も感じない。
""神谷：身体的に影響は？
""ＧＭ：特にない。異様な感覚だけ。
""Ｄ：外に出ると？
""ＧＭ：もとの感覚に戻る。
""海山：この中だけに変な力が働いていると考えられるわけだ。
""櫂斗：エネミーソナーに反応は？
""大空：自分はアストラルサイトで周囲を見ますが…。
""ＧＭ：櫂斗のコンプに警告はないがGP値は高めだね。大空は特別な存在はない事が分かる。奇妙な空間になっている事は皆に感知できたが、それ以外に手掛かりになりそうなモノは見つからない。
""Ｄ：ヴィクトル氏の所に行くか？
""櫂斗：近所の人に、この土地の事を聞き込みします。
""大空：聞き込みに同行します。
""海山：空き地の周辺を歩いて調べてみます。
""神谷：車で待機。
""Ｄ：エンジンかけて待ってる事にします。

　海山は周辺の土地観を得るに終わり、櫂斗、大空は土地についての次の情報を得た。
・元は佐久間氏の所有で屋敷が建っていた
・屋敷は火災により焼失
・近所に住む者が気付いた時には、既に屋敷全体に火の手がまわっていた。
・一瞬で全体に火がまわり、極めて短時間で燃え尽きたらしい。
・火勢が強い割りに、近隣の家には全くといっていいほど被害の及ばない奇妙な火事だと消防士が漏らしていた。
（この火災もライオネルの魔術攻撃によるものだったんだろうか？ しかし、今は関係なさそうだな）

""大空：あの空き地の所有者が、現在誰になっているのか調べませんか？
""Ｄ：そんなの電話して事務所の誰かに調べてもらえばいいよ。
""大空：じゃ、事務所に電話して、三田村さんにお願いしておきます。
""三田村（GM）：「調べておきましょう。分かり次第、連絡します」って言ってくれます。
""Ｄ：「櫂斗、ヴィクトル氏に来訪連絡いれといてくれよ」
""櫂斗：業魔殿のヴィクトル氏にアポをとっておきます。
""ＧＭ：了解。

!業魔殿
『移動中の車より櫂斗がアポを取ったので、対応はスムーズにいき、無表情のメイドが出迎えてヴィクトル氏の執務室へと案内してくれた』

""ＧＭ：「造魔作成の造詣は深まりましたか、櫂斗君」
""櫂斗：とりあえず、ヴィクトル氏にメンバーを紹介だけして、あとは他のみんなに任せる
""Ｄ：「今、世間を騒がせている連続殺人事件のことはご存知ですか」
""ヴィクトル：「いや、世俗の事には興味がないものでね」
""Ｄ：かくかくしかじかと状況の推移を、ヴィクトル氏に説明して「今回のその連続殺人事件には、人形、ミヒャエル、ライオネルが今回も関わっていると私は考えているのですが、どう思われますか」と尋ねてみる。
""ヴィクトル：「話を聞くにおそらく君の推測は間違っていまい。そして、私が思うに、ライオネル、ミヒャエルは櫂斗君が人形を所持している事を知り、精神的にも肉体的にも追い詰めてから目的の人形を奪い取るつもりなのだろう。奴は陰湿にして非情なやり方を好む。まず、獲物の周りから攻撃を始め、それが獲物なる者にもはっきりと最後は自分だと気付くやり方で精神的に追い詰めていく、その恐怖心が高まった時を狙って奴は獲物を手にかける。今回に関しては、周りが栗山関係者で獲物は人形の持ち主と言うことになるだろう」
""大空：では、空き地の奇妙な力の働きは？
""ヴィクトル：「そこで何らかの儀式が行われた可能性が高い。殺された者達はその儀式の触媒に使われたか、それとも生贄にされたのか」
""『ひととおり欲しい情報が得られた後、PCたちはドリーカドモンで造魔を作ってしまうことを強く勧めた。しぶしぶ、造魔を作ることにした櫂斗だが…』
""（ここで、櫂斗、GM以外は小休止、そして、戻ると…）
""ＧＭ：装置が故障したので造魔を作れない状況という事にしました(苦笑）。

『ヴィクトルから空き地で儀式が行われている事を知ったPC達は、今夜も儀式を行う為に空き地にミヒャエルが現われるかもしれないと考え、夜通しで空き地を張り込んでみる事にする』
（その触媒か生贄が吉田氏かもしれない？　という考えもあったし）
『業魔殿から空き地へ向かう途中で三田村さんから連絡が入り、空き地の現在の所有名義がミヒャエルになっていることを知らされる』

!出現した屋敷＝罠！？
""ＧＭ：どういう風に張り込むの？
""海山：空き地の良く見える物陰に隠れて。
""大空：海山さんと反対にあたるような位置の物陰に隠れて。
""Ｄ：ルートを決めて辺りを周回するように歩きながら。
""櫂斗：車の中から。
""神谷：車を動かせる人がいないとまずいので自分も車の中にいます。
""ＧＭ：了解、張り込みを始めて２時間位過ぎた。時刻は深夜12時に差し掛かるところで空き地に変化が現れ、３階建ての家がうっすらと見えはじめ、数分後には完全に視覚に捕らえることができる。
""海山：家に近づき、刀でつついてみる。
""ＧＭ：コンコンって感じ、完全に実体化している。
""（まさに家の中に入ってこいと言わんばかりだ…。罠なんだろうけど、踏み込まないと話が進まないだろうし…）
""Ｄ：正面玄関のドア開きますか？
""ＧＭ：開きます。普通の家と同じです。
""Ｄ：入ってみよう。
""神谷：入るなら全員で入ったほうがいいんじゃない。
""海山、櫂斗、大空：賛成！
""Ｄ：じゃ、全員で入ります。
""ＧＭ：入る時に、昼間空き地に入った時と同じように空気の幕を通り過ぎた感じがする。そして、全員が入りきった所でバタンとドアが勝手に閉まります。
""大空：開けてみます。
""ＧＭ：ガチャガチャ、開かない。
""神谷：罠にハマったかな。
""Ｄ：（やっぱり、そうなるか）屋敷の中を探索して別の脱出方法を探そう。周囲の状況は？
""ＧＭ：廊下の左手と突き当たりにドアがひとつずつ、右手に並んでふたつと、２階に続く階段がある。
""海山：床とかのホコリの堆積具合は？
""ＧＭ：キレイです、ホコリは無いね。
""神谷：物音はないですか？
""ＧＭ：聞こえてこない。
""大空：階段の上を見る。
""ＧＭ：２階に続いているんだろうけど、階段の近くに行くと見えない壁にぶつかって、完全に階段の真下までは近づけない。
""（もしかして、くまなく各階を探索しないと上には行けないようにしてある？　って事は、GMの用意した罠などは全てハマるか解除しながら進まないといけないってことか！？　おいおい…）
""大空：手近なドアから、開けまくりましょう。
""海山、神谷、櫂斗、Ｄ：意義なし！
""ＧＭ：左手のすぐ近くのドアを開けると応接、廊下の突き当たりはキッチン、右手奥は風呂場です。
""Ｄ：じゃ、あとの残りがトイレだな、そこは開けなくてもいいや。
""ＧＭ：…。（え～っ、と思ったはずのGM。なぜなら、ここには…この回答は後ほど明らかに…笑）
""神谷：応接間から調べます。
""ＧＭ：応接間に入ると、大きなテーブルを囲むようにソファがあり、ガラス棚の中には、ウイスキーのビンにグラス、ティーセットなどがあり、書籍の並んでいる所もある。テーブルの上に紙切れがあり何か書かれているようだ。奥にもドアがひとつ。
""大空：奥のドアを開ける。
""ＧＭ：食堂みたいだね。その更に奥にキッチンが見える。
""海山：紙を持って見てみるけど、読める文字？
""ＧＭ：読めます、紙には「２階へ上がるには案内人が必要　ミヒャエル」と書かれている。それと、どこからともなく、声が聞こえてきた「ようこそ、私の用意したゲームへ、屋敷へ足を踏み入れた瞬間がスタート、制限時間は明朝の日の出、勝利条件は屋敷からの脱出、君たちが勝てば自由の身に戻れる。夜明けまでに脱出できなければ、未来永劫この屋敷と共に異空間をさまよい続ける事になる。では諸君らの健闘ぶりを眺めさせてもらう事にする」
""Ｄ：ミヒャエルには「蟷螂手を喰らわせる！」と決意した。
""海山：この棚、動かせそうですか？
""ＧＭ：直観チェックをして。
""海山：成功しました。
""ＧＭ：横にスライドして扉が現れる。
""海山：扉を開けます。
""ＧＭ：開いた。その部屋の奥の壁には頭に猫耳をつけた人間みたいな奴が鎖で縛りつけられていた。そいつは君たちを見て「ウゥーッ」と毛を逆立て「キシャマ達も法山の敵だニャ」と言うよ。
""櫂斗：これでメイドの格好だったら完璧なんだけどなぁ…（笑）「僕の出番！」と言ってアナライズ!
""ＧＭ：完全には分からないけど、ネコマタの近似種だと分かる、「子ネコマタ（以後：子猫）」としておこう。
""櫂斗：仲魔にできますか？
""ＧＭ：それは、交渉次第でしょ…。子猫は「キシャマ達、法山を殺したニャー、フギャー」と暴れる。
""Ｄ：「違う、我々は味方だ、奴を一緒にやっつけよう」と言ってみる。
""神谷：念のため、銃を準備しておく。
""櫂斗：「何でこんな所に縛られているんだ」と聞く。
""子猫(GM)：「えりゃそーにしたむかつく奴がやってきて、やられてしまってニャ、気がついたらこうだったのニャ、味方なら外してくれニャ」
""Ｄ：「暴れないと約束するなら、外してやろう」
""子猫（GM)：「するニャ」
""Ｄ：海山の抜刀で一閃っていうのがかっこいいかな。
""海山：でも、模造刀ですからね～、無理でしょ（笑）。
""神谷：鎖を銃で切ります。
""ＧＭ：ガァ～ン、ガァ～ンと２発の銃声と共に子猫の両腕の鎖はちぎれた。
""Ｄ：子猫に名前はあるのか聞いてみる。
""子猫(GM)：「法山には、実験体４号って呼ばれてたニャ」
""（実験体４号…、開発コードナンバーフォー…、名前を付けるならやっぱり…かな）
""『この後、子猫を仲魔にしようと交渉を展開させるのだが、大空が突然単独行動に出る』
""大空：あとひとつ開けてないドアがあったので開けてみます。
""ＧＭ：わざわざ、ありがとうございます！　そこは、トイレで便器から何か飛び出してきたと同時にドアは自動的に閉まる。（ん～、やっぱり）
""大空：逃げる。
""ＧＭ：ドアは開かない。（そうだろうね～）
""大空：大声で、「うわぁ～、で、で、でた～！」と叫ぶ。
""ＧＭ：その声は応接間のみんなにも聞こえた。
""海山、神谷、Ｄ：声の方へ向かう。（助けないわけにも、いかないしな）
""櫂斗：子猫とじゃれてます。

""＜覚醒イベント＞
""ＧＭ：ここから、戦闘ラウンドにはいりますが、『悪魔と遭遇する』というのは、覚醒イベントといって覚醒レベルを上昇させる為の覚醒チェックができます。覚醒チェックは現在の命運値以下を出せば成功となりますが、覚醒必要レベルに達していない場合は不足しているLv×10％のペナルティーがつきます。成功すると新たな技能に目覚めることができ、その技能の特性修正値、覚醒装備をもらえ、バッドステータスも取り除かれHP、MPが完全回復します。宿命も１つ消せます。失敗した場合は１Ｄ６の命運点を獲得します。このチェックはＰＣの任意です。
""海山：00で成功しました。（１％の確立を成功するとは、なんたる強運！）
""ＧＭ：では、新たに得ることのできた技能を決めます。Ｄ％を３回振って出た目の表の中から選ぶか、命運を５点消費して好きな技能を自分で選択するか、どっちにする。
""海山：Ｄ％振りでシューティング、太極拳、ESPの中から選択っすね、ESPで特技をプレコグニション（未来予知）にします。
""ＧＭ：すると『先読みの剣士』って感じになりますね。海山一人は、こんな感じで覚醒したと…。

!≪海山一人技能覚醒シーン≫
　トイレのドアが開き一体の悪魔と戦っている大空の姿が、海山の目に飛び込んだ。この瞬間、海山は今までに体験した事のない感覚に全身を貫かれた。戦闘に対する歓喜と恐怖、仲間を助ける使命感などが複雑に混じりあい、その沸き起こる感覚に身体が打ち震える。（武者ぶるいってやつか、こんな感覚は初めてだ）海山はそう思った。その感覚は極限まで高まりはじけた。その瞬間から海山には、なぜか周りの動きがやけに遅く見えるようになっていた。
　次の刹那、目の前の悪魔に対して抜刀し、その胴元に刀をくい込ませている自分の姿を見た気がした。その天啓のひらめきにも感じる映像と重なるように抜刀すると、目の前の悪魔の胴元にその刀身がくい込む、海山自身が刀を抜く前に見えたモノとぴたり重なったのだ！（まさか、あれは未来の映像だったとでもいうのか！？）それは、偶然ではなく幾度となく続き、仲間の援護の動き、攻撃してくる悪魔の動きなどその全てが一瞬早く知覚できるのを確認した。（これが、師匠の言っていた『覚醒』なのか。そして、これが俺の新しい力…）海山は自分自身に覚醒した新たな能力を初めての悪魔との戦闘中に実感していた…。

!餓鬼との戦闘
　１ラウンド目は、神谷、海山、Ｄはドアの前に辿り着くだけ。餓鬼と大空は一騎打ち、お互いに少しずつダメージ与えてラウンド終了。
　２ラウンド目はトイレのドアが開いて開始、神谷の銃がヒットするがダメージを殆ど与えられない。銃弾のダメージは効果が薄いと判断。その後、神谷は弾丸を温存することにした。海山の抜刀もヒット、これは効果がありそうとの事で前衛は海山とＤに、ダメージのある大空が後ろに下がると同時にＤが前に出る。餓鬼はＤを攻撃、Ｄは回避失敗、わずかにダメージをうける。
　３ラウンド目、神谷は後方を警戒、Ｄのリベットナックル、海山の抜刀は餓鬼にダメージを与えるが、餓鬼はまだしぶとく海山に反撃をして、海山は回避失敗ダメージを喰らう。大空はスリングを打つがこれは失敗空をきった。
　４ラウンド目のＤの蟷螂拳がヒットし、餓鬼は倒れた。
""ＧＭ：ここにいる櫂斗以外のPCは経験点をゲット。しかし、櫂斗がいないのでマグネタイトは霧散してしまいますね。
""神谷：報酬が減った…。
""ＧＭ：マグネタイトは換金することができますからね、恨むなら櫂斗を…。

""『子猫とジャレ遊んでいた櫂斗の方へと合流し、子猫との交渉は櫂斗に任せる事にしたが、進展していかないようなので、先に案内人を探そうという事になった』
""ＧＭ：じゃ、全員直観チェックして、成功した人は、子猫の首輪に何か文字が刻まれていることに気付きます。それを良く見ると、『案内人』と首輪に刻まれている。
""ＰＣ一同：案内人！？　って、子猫？（妙なとこで律儀な奴だな、ミヒャエルって）
""ＧＭ：そうみたいだね。
""神谷：２階へ行きますか。
""櫂斗：子猫に「案内よろしく！」
""子猫（GM)：「了解ニャー！」
""『子猫を救出した？　１匹に導かれて２階への階段を上った』

!２階、五行の部屋
""ＧＭ：階段を上りきると、その左手側が少し広くなっていて、その場所を中心に５つの扉がある。
""大空：１番近い所から開ける。
""ＧＭ：この部屋を１番の部屋とします。中は黄色一色に塗りつぶされています。奥の壁には岩のレリーフが飾られていて、部屋の中央辺りに、悪魔が一体いますが、動きはしません。
""櫂斗：アナライズ！
""ＧＭ：一本ダタラと言う悪魔です。属性は木。
""Ｄ：部屋に入ってみますが…。
""ＧＭ：変化なし。
""大空：最初に全部の部屋見てしまいましょう。
２番目の部屋：緑、宝石のレリーフ、悪魔はキッポウ（火属性）
３番目の部屋：赤、葉のレリーフ、悪魔はカブソ（水属性）
４番目の部屋：青、炎のレリーフ、悪魔はワイラ（土属性）
５番目の部屋：茶、湖のレリーフ、悪魔はグレムリン（金属性）
『この時点で五行説が素の謎解きで、レリーフをそれに合わせてかけ変えてやれば良いとまでは解ったが相生、相剋どちらに？　という事と基準が部屋か悪魔かで大いに悩んだ。レリーフを全部外して置き換えながら考えていく事にした。しかし、どうにもうまく合わない』
（この中のどれかが案内人で、謎が解けないと判明しないのか？）
『明確な解答が見つからないので、ありとあらゆるパターンを試していこうと考えたPC達を見てGMは、そのうち解答に行き着くだろうという事から、正解を導く方法と理由をプレイヤーたちに説明してくれた。そして、２階から３階に上がるには、この謎が解ければよくて、案内人は子猫のみで良いのだと…』

!３階、４聖獣の部屋
『３階は階段を上りきったホール部分と、大きく４つの部屋になっており、PC達はまず全ての部屋を見てまわった』
北方に位置する部屋：赤、中央に台座があり『亀』の彫像が置かれている
南方に位置する部屋：黒、中央に台座があり『鳥』の彫像が置かれている
東方に位置する部屋：青、中央に台座があり『虎』の彫像が置かれている
西方に位置する部屋：白、中央に台座があり『龍』の彫像が置かれている
『朱雀、青龍、白虎、玄武の４聖獣の謎解きだと言うのはすぐに分かったが、これも一筋縄ではいかなかった。そこで、気になっていた南東に位置するところにある小さいスペースの所が隠し部屋になっていないか調べてみたが、隠し扉は見つからなかった。その部屋に、ヒントがあるかと考えていたのだが…ここで、GMがPCに直観チェックを求めた。成功した神谷が、隠し扉がないか調べていた壁の塗装がはがれることに気付く。その塗装をはがすと、４聖獣の描かれた壁画が現れた。これがヒントである事に気付いたPC達は、改めて壁画を参考に聖獣の配置を変えてみた。すると、東南の方角から轟音が響き、行ってみると壁が崩れ、PC達が考えていた以上に広い部屋となっていた。』
（もともとが異空間なのだから、そんな事もあって当然だが、少し意表をつかれたな）

ＧＭ：その奥の方には大きな執務机がひとつあって、金色の長髪に碧眼のやせた男、ミヒャエルが不敵な笑みを浮かべて座っている。櫂斗以外の所員達はミヒャエルを見るのが始めてだが、櫂斗に聞いていた人相に符合する事から目の前の男がミヒャエルだと分かってもいい。屋敷に妙な力が働き始めたのか、屋敷全体がきしんでいるようで、「ギシッ」と言う音が絶え間なく聞こえてくる。その中で落ち着いた口調で、ミヒャエルがこう言う。「ここまで、辿り着けた所をみると、予想以上に賢いと見える。まぁ、少しは評価できるかな。屋敷が崩壊を始めたのは気付いているかい。もっとも君たちがこの部屋を見つけると同時にそうなるように仕組んでおいたんだが…。この部屋は持って２、３分だろうね。屋敷が完全に崩れるのも、10分はかからないだろう。さて、最後の交渉だ。おとなしく人形をこちらに渡せば、崩れるこの屋敷から解放してあげよう」
""櫂斗：「人形なんてないよ」と言う。
""ミヒャエル(GM)：「嘘は無駄だよ、調べはついているんだ。こういう顔の男が事務所に行っただろう」と自分の顔を吉田氏の顔に変えてみせて「そう、私だよ」と言う。
""Ｄ：櫂斗に熨斗を付けて渡してしまい気もするけど…。
""海山：渡した所で奴が約束を守る保障もないから、戦うしかないだろうね。
""Ｄ：「たとえ人形を渡した所で、ここから逃す保障はない。それにこの空間を作る力を持っているのはお前ではないだろ。たかがライオネルの使い走りのお前にそんな力はないんだろ」と挑発しよう。
""ミヒャエル（GM)：「渡さないなら、それも良し。屋敷の崩壊に押しつぶされ骸となって、異空間を彷徨いたまえ」軋む音は段々と大きくなっていく。
""神谷：これ以上は待てないので撃ちます。ガァーン、成功
""ＧＭ：ミヒャエルは不敵な笑みを浮かべたまま、微動だにしない。神谷の撃った弾丸はミヒャエルをすり抜け後ろの壁に当たったようだ。ミヒャエルの姿は「すぅー」っと消えていく。軋みがひどくなってきたことが分かる。この部屋はあと１分も持たない。
""海山：この場は、窓があった部屋から外に飛び出します。
""ＧＭ：全員、同じ窓から飛び出したという事にします。

!対ミヒャエル
ＧＭ：窓をから外に飛び出すと、空間の歪みみたいなものを感じ、君たちは外ではなく、ある部屋に放りだされた。そこは１階の応接室のようだ。相変わらず屋敷の軋む音は徐々に大きくなっていて、この部屋もそんなには持たないと分かる。そこには、ミヒャエルが待ち構えていて「力づくで奪い取るのも、一興というもの…」と言って、いきなり攻撃してきます。ここから戦闘になります。行動順はミヒャエル、神谷、Ｄ、海山、大空、櫂斗となります。
　１ラウンド目、ミヒャエルは、海山へ攻撃、海山は回避失敗、ダメージを受ける。神谷がミヒャエルに発砲するが回避されてしまう。海山も燕返し（居合の同一目標２回攻撃）で反撃、一振り目がファンブル（武器を使用する技能はファンブルで武器が壊れてしまう）これを、命運で振り直す（＊１）、しかし２回とも回避されてしまう。Ｄの攻撃も失敗、大空のスリングも外れる。櫂斗はコンプを起動して「ノッカー」を召喚するが失敗。
　２ラウンド目、ミヒャエルは海山にダブルインパクト（２回攻撃）を使用、２回とも回避できなった海山はかなりのダメージを喰らう。このままだと戦闘不能になる海山は命運を使い、片方のダメージを打ち消した、神谷の攻撃、海山の燕返しが１回ずつヒット、２人で結構なダメージをあたえる、ミヒャエルも余裕がないらしく悪運（＊２）を使い海山の攻撃を打ち消した。Ｄの蟷螂手（蟷螂手による攻撃は物理防御を半分にしてしまう）がヒット、ダメージを与える、結構効いたらしい。大空はヒーリングで自分を回復、櫂斗は再び「ノッカー」召喚をするがまたも失敗。
　３ラウンド目、ミヒャエルはマハザン（風による魔法攻撃、副効果に転倒）を放った。Ｄは抵抗成功、海山、神谷、大空は抵抗失敗、副効果は回避、櫂斗は両方失敗、しかし、転倒だけは避けたいと命運を使用する。神谷、海山がそれぞれ攻撃、ミヒャエルに少しずつダメージを与えた。Ｄは再び蟷螂手で攻撃、これがなんとクリティカルヒット（＊３）となり、ミヒャエルは倒れた。念のために追い討ちを加えておいたが、この部屋も崩壊寸前なので完全に息の根を止めたかの確認はできなかった。５人と１匹は脱出を最優先させ、侵入した玄関より脱出した。

*1「命運の使用」：１点消費することで、『自分に命中した攻撃１回の効果を打ち消す』『判定値を＋20％できる』『威力ダイスを１つ増やせる』『振ったダイスを振りなおせる』などの効果を選択して使用できます。１シナリオで使用できるのは５点分までです。
*2「悪運」：NPC、悪魔が使用する命運の事。
*3「クリティカルヒット」：戦闘時の攻撃で大成功すると、防御側は回避に失敗すれば２倍のダメージとなり、通常成功でも命中扱いとなる。回避するには防御側もクリティカルで回避成功するしかない。

!朝焼ける空
　外に脱出することができた５人と１匹は、少し離れた場所から屋敷が完全に崩れる様子を眺めていた。空き地には、ただの瓦礫だけが堆く残ったが、それも白み始める夜空に呼応するように薄らいでいった。その消えゆく瓦礫が音を立てて動き、何かが飛び立った。まさかミヒャエル！？　と思い、飛び去る何かを視線が追う。即座に神谷は銃を抜き発砲、大空はスリングを撃つがどちらも命中はしなかった。飛び去ったモノが何なのかを視認することも出来なかった。
　ミヒャエルである可能性は高いだろう。奴は人間でないことだけは確かだし、そういう輩を完全に葬ったという確信もない。奴ならまたそのうち合間見える事になるだろう、今回の復讐を目論んで…。
　薄れ始めた瓦礫の山も陽光が大地を照らす前には完全に消滅し、何もないただの空き地に戻った。その空き地を眺めていると昨夜の出来事は夢幻のように錯覚するが、身体に刻まれた傷と疲労がすべて現実であった事を証明していた。
「さぁ、事務所に戻ってから休むとしよう。子猫は、とりあえず事務所に連れてくしかないだろうな」
リーダーの海山が皆に声をかけ、重くなった身体を動かし、事務所への帰路へついた。

!事後報告
　傷ついた身体は大空の念治療である程度癒されているが、一昼夜を不眠不休、しかも最後は自分たちの命を賭けた戦いの後ときては精神的な疲労までは隠せない。
　事務所に到着し、すぐ三田村女史に、吉田氏の依頼に始まった今回の事件の推移を報告した。その原因となったのは、やはり先月持ち込まれた「ギデオンバルクの人形」の依頼に遡り、人形を渡さずに隠匿所持をした事がミヒャエル、ライオネルに知られた事、ミヒャエルは自分を欺いた所員達、櫂斗、安部、豊田、柊への報復を目論んだものであり、今回、櫂斗以外の所員達は単に前回の依頼を受けた所員達に降りかかるべきであった火の粉を一緒にかぶってやったような感じとなった事。しかし、完全に敵対する態度を見せた事により、人形の所持に関わらず、ライオネル対片桐事務所と言う構図が完全に出来上がってしまったであろう事を示唆しておいた。また、対ライオネルに関しては今後、ヴィクトル氏は有力な協力者となってくれる事だろうことを付け加え、報告を終えた。
　「ご苦労だったわね、みんな…」と三田村さんは苦笑を見せ、「今日、明日は出所しなくていいから、ゆっくり身体を休めてちょうだい」と付け加えた。確かに今の我々には、身体を休める時間が何よりの報酬と言えよう。早速、家路に着こうと立ち上がると、「あっ、そうそう、Ｄ君は、次の出所までに今回の報告書まとめておいてね。初めての任務に初めての報告書作成って事で、解らない事は遠慮なく聞いてね」と悪戯っぽく笑って見せた。それは、今のＤへは見事なクリティカル攻撃となり、Ｄは苦虫を噛み潰したような表情になる。（そりゃ、ないぜ、三田村さん…）そのＤの表情を見た海山たちは、どっと笑い、思い思いに激励の言葉をかけて事務所を出ていった。
　後日、Ｄが作成した報告書は以下のように記されていた。その文面からは、とばっちり的な任務であった事への憤慨が色濃く出ていて、その矛先は、今回一緒に出動した、櫂斗により強く向けられたようである…。

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報告書
件名：栗山連続殺人から、幽霊屋敷へ…
依頼主：吉田弘司（ミヒャエル・クーリッヒの変身？擬態？）
調査員：海山一人、Ｄ＝鷹澤、神谷香、大空民男、三軒茶屋櫂斗
依頼内容：栗山不動産関係者連続殺人事件の調査、他
報告：依頼は、ミヒャエル自身の狂言によるモノで、この依頼自体が人形の在処の最終確認とそれを持つ者を自分の用意した報復ゲームの舞台にあげ、人形をミヒャエルに奪取させるのがライオネルの狙いだったと推測する。そういう意味では今回の出動所員は櫂斗達に降りかかる災いをわざわざ一緒に浴びにいってやったようなものだと言える。しかし、今後、ライオネルなる者は事務所を自分の敵とみなし執拗に策を講じてくる可能性がある。対策を立てておいた方がいい。それには、ヴィクトル氏を協力者として対ライオネル戦略の助言を得るのが１番の良作だろう。
追記：この事務所においてデビルサモナーは貴重だという事は理解できるが、今回の依頼に関してみる限り櫂斗は使えないこと甚だしいと言わざるをえない。櫂斗自身を所長自ら厳しく指導していかないとただのお荷物になるだろう。遅刻の常習犯でもある事だし、今のまま成長がないなら、ただの給料泥棒に成り下がるだろう。
報告書作成者：Ｄ＝鷹澤
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!エピローグ～崩れゆく旧法山邸
　ミヒャエルは己の体の崩壊を食い止めようと、必死にもがいていた。しかし、幾らあがいても一旦始まってしまった崩壊を止める術などミヒャエルには無い。（こんなことになるのだったら素直に故郷に戻れば良かった。そうすれば崩壊が始まる前に『補充』が出来たのだ）
　そう悔いるミヒャエルの前の瓦礫が消え、代わりに一人の少女が現われた。その髪と肌は白く、色素の欠乏が伺える。なぜか少女の周りには瓦礫が落ちてこない。少女はまだ崩れていないミヒャエルの胸部に右手を延ばし、そのままめり込ませる。すると、ミヒャエルの体のまだ原型を留めている部分が変化し始め、それは一体の有翼の獣へと変化した。ミヒャエルだったその獣は少女に向かい一声唸った後、崩壊しきった旧法山邸から飛び出していく。少女は、その赤い瞳でミヒャエルが飛び去った方向を見送った後、現われた時と同様、唐突に姿を消した。
　後には瓦礫の山が残るだけだった。

!マスターの感想、反省点
　つー訳で「ギデオン・バルグの人形」後日談こと「幽霊屋敷の決戦」でした。最後の部分、懲りもせず伏線を張ってしまいました。果たして謎の少女の正体は！　てな事をやってますがこれはキャンペーンでは無いので、はっきりする訳では無い、かもしれません。
　ここで様々な補足を。
本来の「ギデオン・バルクの人形」のシナリオ内では、ミヒャエルの正体はセエレと言う悪魔なのですが、続きを創るうえで、それでは少し味気ないと考え、ライオネルが造った造魔にしてしまえ、と言う訳で、造魔にしてしまいました。
　それとレポートでは、ライオネルの命令で三軒茶屋が持っている（であろう）人形を奪おうとしている、とありますが実際はミヒャエルの独断です。ライオネルは法山に渡った人形を奪ってこいと言っただけなので、それができなかった以上、ライオネルの下へ戻るのが普通の造魔です。しかしミヒャエルは、造魔が本来持つはずの無い自我や意志を備えているので、状況から判断して今回の計画を実行したのです。しかし、このせいかミヒャエルは造魔が必要としない生体マグネタイトを定期的に摂取しないと崩壊する体になってしまいました。
　それから二階、三階の謎解きについての裏事情の説明を。
旧法山邸の二階と三階は、異空間に安定して存在できるように、法山が五行を利用した結界を作っていたのですが、それをミヒャエルが自分の都合の良いように作り替えたのです。そもそもこの旧法山邸は、法山が自分の造った実験体が他人に邪魔されずに生きていけるように異空間に移動させた物だったのです。それをミヒャエルが何処で知ったかと言うと…何かきりが無いな。もし、今回のシナリオで質問等ある方がいらっしゃれば、自分の所まで直接聞きに来て下さればお答え致します。
　それにしても今回のシナリオは、前回参加したメンバーを主体に考えたものだったのですが、結局連続で参加したのは三軒茶屋ただ一人。いくら同じ職場とは言え、他のメンバーはいい迷惑だったのでは。今後もこの片桐探偵事務所の設定を使用して行く上で注意しないといけない所です。
それでは、こんな設定魔の自分のシナリオをプレイしていただいた皆様に感謝。そして、代わりにプレイレポートを書いて下さったK少尉にはさらなる感謝を。
では次の機会まで。

追記。コネコマタの名前を誰か考えてみません？　良かった物を正式採用。

!参加者の感想
ザリ
　今回も楽しくプレイさせていただきました。ただ、私の頭の中には全く無い五行の知識が必要だったのは、かなり辛かったです。全く謎解きの時に役立てず、まぁ今回は戦闘時もダイスの神様がバカ正直者は好きではないのかダイス運にも恵まれず役に立たなかったのですが…。でも、コネコマタに、一人で萌えてました（笑）。櫂斗はぷりちーなキャラが好き！　っていう設定にしたつもりが、ちと私自身を誤解された気が…。
　あと、もう一つ誤解があったようなのですが、造魔合体を今回諦めたワケは、データを直すのにとても時間がかかるとの事だったからなのです。時間に余裕があれば、それは迷うことなくとっとと造魔合体させて、めちゃ強な造魔で誰にも有無を言わさず敵と戦う事を望んだんですけどね。そしたら少なくとも、ミヒャエルが人形を奪いに来る…なんて事は無くなるわけで。復讐しに来るのなら受けて立ちますし。だから今度、セッション外で櫂斗に個人的に業魔殿に行かせて、造魔を作らせたいと思います。忘れなければね（笑）。と言うわけで、GMにはご協力いただきたいと思う次第でございます。
　コネコマタの名前、なんか良いの無いかなぁ…。う～ん、“ウリエル”なんてのはダメかな…。悪魔に敢えて天使の名前を付けてみたり。櫂斗的には、「僕の天使ちゃん♪」ってな感じでしょうかね（笑）。

Y川
　女神転生について、TRPGでは初めてでありコンシューマーについてもほとんど知らないので新鮮な気持ちで遊ぶことが出来ました。シナリオについてもストーリーもしっかりしていたし、凝ったリドルもあっていろいろ楽しめました。
　今回のキャラクターの技能はシューター（銃使い）だったので、あまりこの世界設定ならではのことが出来なかったので、次にこのゲームをやるときは他の技能、特に悪魔との交渉もやってみたいと思いました。