{{category クトゥルフの呼び声}} ---- !!クトゥルフの呼び声用キャンペーンシナリオ『黄昏の天使』第一話『深紅の戦慄』プレイレポート !!!注意:このレポートはクトゥルフの呼び声用キャンペーンシナリオ『黄昏の天使』第一話『深紅の戦慄』についてのネタバレを含みます…というかネタバレそのものです。プレイ予定の方、いずれはプレイしたいと考えている方は決して読まないで下さい。 !プレイ日:2001年10月14日、10月21日 山桜会定例会 キーパー:総裁 '''探索者紹介''' 探索者番号:1 出鱈目 言太郎(でたらめ いうたろう) 性別:男 年齢:32 ""でっち上げと誇大記事が得意技のフリーのルポライター、その名前から取材先でも常に信用されない。主な契約先はオカルト系雑誌”アトランティス”。現在までに東北の雪男伝説などの記事をデッチ上げ……もとい、掲載してきた。 探索者番号:2 関口 英雄(せきぐち ひでお) 性別:男 年齢:25 ""元陸上自衛隊3等陸曹、自衛隊では習志野の第1空挺団に所属。現在はフリーター、革ジャンとパンクと、愛車の黒いレガシーをこよなく愛する。通称”習志野の虎”。極度の方向音痴。 探索者番号:3 大月 太郎(おおつき たろう) 性別:男 年齢:28 ""科学の狂信者。某大学理工学部特別講師。「プラズマで全て証明できます」が口癖。非科学的なモノを嫌悪し、徹底して科学で証明しようと無駄な努力を続ける、ある意味で正気度が0な人。出鱈目とは取材を通して知り合った。 探索者番号:4 佐山 千勝(さやま ちかつ) 性別:男 年齢:42 ""オカルト好きな歴史学者。彼の妹一家がある事件に巻き込まれたところから、この話が始まる。その主義主張から大月とよく対立する。しかし、なぜ彼は妹一家の事件に出鱈目みたいな男を絡ませる気になったのか、いまいち謎である。 探索者番号:5 西園寺 義貴(さいおんじ よしたか) 性別:男 年齢:26 ""都内で西園寺司法書士事務所を開く司法書士。佐山の教え子にして友人。シナリオ後半佐山が入院してしまうところからバトンタッチした真面目な好青年。八王子市椚田のマンション在住。愛車は赤いアルテッツァ。 !プレイレポート (オカルト系雑誌”アトランティス”2000年7月号に掲載された出鱈目のルポより) ※文中にある(写真X)とは、アトランティスに掲載された際に添付されていた、出鱈目の撮った写真を指しますが、このレポートには紙面の関係上、割愛させていただきます。 ""”真紅の戦慄!!” 出鱈目 言太郎の衝撃ルポ第1弾 ""衝撃ルポ! 昨夏、勝浦市で起こった謎の連続殺人鬼の正体は、異次元から邪悪な魔道師によって召還された謎の怪生物だった!! ""ルポライター:出鱈目 言太郎  読者諸兄は、昨夏、勝浦市で発生し、列島全土を恐怖のどん底に落とし込んだ謎の連続殺人鬼の事件を未だご記憶のことと思う。  実は、私は偶然にもこの事件に巻き込まれ、危うく命を落としかけたのである。  この事件は読者諸兄もご存じの通り、勝浦郊外で起こった謎の大爆発により終息している。警察はほとんど何の情報も発表せぬままに、事件の決着を宣言し、警察の秘密主義がさんざん叩かれることとなったのだが、警察とて人類の安全を優先しての結果として発表しなかったのであり、かつまた発表するような情報がほとんど警察になかったことも私は知っている。  私はこの事件に巻き込まれ、危うく命を落としかけつつも、警察ですら知り得ない様々な事情を知ることとなった。  私がこの情報を読者諸兄に開示するにあたって様々に悩んだものだが、結果としてジャーナリストとして、真実を報道することが義務であることを考え、ここに知られざる事件の真相を暴露するものである。  まず、事件の真相を述べる前に、この謎の殺人鬼の事件についてもう一度おさらいしておきたいと思う。  最初の事件が起こったのは、今を去ること1年前の1999年8月4日の深夜1時過ぎの事である。勝浦市街から5km程離れた海に近い別荘地で、道を歩いていた男女の2人連れが襲われ、性別も分からないほどにずたずたに切り刻まれ、全身の血を抜き取られると言う凄惨な事件が発生した。  その事件から2日後の8月6日、深夜2時頃。今度は同じ別荘地内のSさん一家が就寝中に襲われ、家族4人全員が同様の手口で殺害された。  ここにいたって千葉県警と勝浦警察署では事件を同一犯による連続猟奇殺人事件と断定。周辺一帯に検問を張り、夜間の警察官による見回りを強化するなどの対策を講じつつ全力を挙げて犯人の行方を追ったが、何の手がかりも得られず、それどころか警察の警備体制をあざ笑うかのように1日おきに事件は繰り返され、ついに警戒中の警察官が襲われるにいたって、周囲は我先に逃げ出そうとする住民達でパニック状態となった。  やがて事件は、勝浦市街にまで拡大するが、8月24日。勝浦市郊外のホテル”ブラック・プリンス”の大爆発を契機にぱったりと終息したのだった。  と言うのが事件の大まかな概要であり、読者諸兄も新聞やテレビの報道などで既にご存じのことと思う。結局、警察は事件の容疑者を特定することも出来ずに未だに、捜査を続行しているし、読者諸兄にもいつまたこの事件が繰り返されるのかと不安な夜を過ごしている方もいると思うが、その件に関しては全く心配はない。と言うのも事件の容疑者は”ブラック・プリンス”の爆発と共に爆死してしまったからであり、私はそのことを確認しているからである。 ****************************************  私が偶然にもこの事件に関わるようになったのは1999年の8月17日の夜7時過ぎに掛かってきた一本の電話からだった。電話は友人の歴史学者、佐山 千勝(仮名)氏からのもので、佐山氏の話では、どうやら例の殺人事件の被害者一家の一つが佐山氏の親戚らしく、警察の対応にいらだっているようすで、このような猟奇的事件の解決の力になれるのは私しかいないと考えて、私の助力を請うてきたもののようだった。  私も内心この事件には深い関心を寄せていたので、喜んで佐山氏の力になることを約束し、こう言った猟奇事件で力になってくれそうな人物を連れてすぐ勝浦へ向かうことを約束したのだった。  私が佐山氏からの電話を受けて、すぐに連絡したのは、友人の関口 英雄君(仮名)だった。彼は元陸上自衛隊の3等陸曹で、この様な危険を伴う事件には絶対に彼の力が必要だと思ったからである。関口3曹は快く私の依頼を引き受けてくれ、彼の愛車のレガシーで勝浦に向かうこととなったのである。  関口3曹に連絡を取った後、もう一人、私はこのような事件に関心を持つ知人に連絡を取ってみることにした。それは某大学理工学部で特別講師をしている物理学博士の大月太郎(仮名)氏で、彼の科学的かつ冷静なアドバイスは、このような奇怪な事件には必要不可欠だろうと思われたからである。  大月氏に連絡を取ると、彼もこの事件の科学的解析に快く承諾してくれ、このようにして私と大月氏は、関口3曹の運転するレガシーで勝浦へと向かったのだった。 ****************************************  佐山氏の待つ勝浦市民病院に、我々が到着したのは午後9時半を少しまわった時刻だった。佐山氏は少しやつれた様子で、見るからに青ざめた顔をしていたが、このような事件に強い私が到着したことを知って、見るからに安堵した様子だった。  佐山氏の話によると、被害者は佐山氏の妹である立花 由加里(仮名)さん、とその夫立花 英二(仮名)さんの2人で8月16日の深夜2時過ぎに例の殺人鬼によって殺害されたとの事だった。ここまでは今までの事件と全く同じ展開だったが、1つだけ、このケースは他のケースと違う点があったのである。つまり生存者が居たのだ。その生存者とは、佐山氏の甥である立花 雄(仮名)くん当時14歳だった。  私は、直にこの事件の目撃者であり、唯一の生存者である雄君をインタビューしてみたかったのだが、肉親以外はまだ面会謝絶とのことで、このインタビューはかなわなかった。  とりあえず私たちは、勝浦市の隣の小湊に旅館を取り、佐山氏と共にそこへ向かったのだった。  旅館に腰を落ち着け、佐山氏から詳しい事情を聞くと、どうも雄君は事件当時の様子をショックからかあまり覚えていない様子だと聴かされる。  しかし、私は一つ気になっていることがあったため、その点を確認するべく佐山氏に尋ねてみた 「なぜ雄君は、殺人鬼によって殺害されなかったんですか?私が知る限り、襲われて生き残ったものはいないはずですが」 すると佐山氏は困ったような顔をして 「さぁ…雄の話では、古墳から出土した古代の護符を身につけていたからだという話ですがね…実際私も見てみましたが、そいつは島根県の弥生時代の古墳から出土した瑪瑙で作られた古代の護符でしてね、私も見たことのない奇妙な印形が彫り込まれていましたが…」と答えた。私は、その古代の護符とやらに興味を引かれたが、大月氏は「非科学的だ、ありえない」とにべもなかった。  いずれにせよその日はもう夜も遅かったこともあり、疲れ切っていた我々は、早々に床についたのだった。 ****************************************  翌朝、もう退院しても良いほどに回復した雄君を加えて、我々は調査を開始した。まず、我々が行ったのは、現場である立花家の別荘の調査で、ここで我々は、警察が必死に消そうとした非常に薄い、足跡状の血痕を発見した。(写真A)  この血痕は差し渡し40cm程の奇妙な足跡で、人間にやや似たところがあるものの、全体としてはまるで人間の足跡とは違うもので、大月氏の話では、この足跡を残した生物の全長を計算すると、約2m半位になるとのことだった。大月氏の見解では、この足跡は頭のイカレた異常者が、警察の捜査を攪乱しようとわざと残したものだとのことだったが、東北の雪男など数々の人智を超えた存在を取材してきた私には、何か恐るべき怪物の存在がちらついているように思えてならなかった。  その日から数日、小湊の旅館を中心に、別荘地をいろいろとあたり、警官などにも接触を持ってみたが、警官達もこの得体の知れない存在に対して恐怖感を持っているのではないかと言うことが分かったこと以外、さしたる進展はなかった。  私は、退院して両親の敵を討ちたいと言って行動を共にしている立花 雄君にも直接インタビューしてみたが、彼は襲撃のショックで、ほとんど何も覚えていない様子で、これと言った情報は得られなかった。  私は、雄君の持っていたという、瑪瑙で作られた古代の護符も見せてもらったが、(写真B)そこに彫り込まれた謎の印形については、私の知識を持ってしても如何なる種類のものか判別できなかった。  それから数日して警察当局は、ついに別荘地全体に強制退去命令を出し、件の別荘地への立ち入りは禁止されることとなった。  ここまでの一行に進展しない調査結果にいらだっていた私は、関口3曹と共に、夜中の別荘地にビデオカメラをセットしてみることにし、彼と連れだって封鎖されている別荘地へと向かったのだった。  私と関口3曹が、警察の阻止線をかいくぐり、ビデオカメラを別荘地の通りが見渡せる場所にセットして車に戻ったのは、すでに午前2時近くになっていた。  私たちはすっかり遅くなってしまったことを悔やみつつ、旅館のある小湊まで勝浦市街を飛ばしていた。と、まさにその時だった、勝浦市街の雑居ビルの谷間から、この世のものとは思えない断末魔の絶叫が私たちの耳に飛び込んできた。私と関口3曹は、互いに顔を見合わせ車から降りると、我知らず悲鳴の聞こえた方角へ駆けだしていた。  そして、私は見た。確かに見たのだ…この世のものとは思えない恐るべき真紅の怪物を……その恐るべき怪物は、………いや、私のつたない文章力ではとてもその恐ろしい姿を描写することは出来ない。私は恐怖にすくみながらも夢中でカメラのシャッターを切った。 (写真C)  その恐るべき怪物は、私と関口3曹が見守る中、忽然と宙に消えたのである。まるでかき消すように……  恐怖と興奮で混乱していた私たちだったが、その時、事件現場から走り去るバイクにまたがった人物を目撃したことだけは覚えていた。  その後、私は自分が勝浦警察署の取調室で、この事件の担当の吉沢警部(仮名)と相対して座っているのに気が付いた、時計を見ると既に朝の5時半をまわっていた。  正直な話し、私は吉沢警部に何を話したのか全く覚えていないほど混乱していた。ただ恐ろしい怪物について口走っていたように思う。普通なら全く相手にされないような話だったが吉沢警部は、ただ疲れ切ったような顔で、黙って私の話を聞いていた。このことが私に、あの恐るべき怪物の正体を警察は知っているのではないかとの疑念を抱かせたのだが……  その日の朝6時半頃に、私たちは身元引受人としてやってきてくれた、佐山氏と大月氏によって警察から開放された。私は、真実情けない話ではあるものの、すっかり混乱し、疲れ切ってしまっていたので、その日は旅館に帰り着くと、夕方遅くまで、眠り込んでしまったのだった。 ****************************************  私が眠り込んでいる間に、旅館に来客があったことを佐山氏が教えてくれたのは、その日の夕食時だった。  佐山氏の話では客は、2人連れの胡散臭い男達で、週間フレッシュの記者、天野 大輔(仮名)と、カメラマン、向田 真一(仮名)と名乗ったそうだ。  佐山氏によると、この2人は、8月17日に一旦、自宅に戻った佐山氏と雄君をつけ回した記者達だとのことだった。  2人は、我々に情報交換の取引を持ちかけてきたらしい。我々が与えた謎の足跡などの情報と引き替えに2人は、片桐 由理(仮名)と言う人物に関する情報を与えてくれたとのことだった。  2人の情報によると、この片桐由理なる人物は、いろいろとこの事件を嗅ぎまわっているらしく、何でも、拝 幻一郎(仮名)なる人物の行方を追っているらしいとのことだった。  週間フレッシュの2人が、なぜこの片桐由理なる人物をマークするようになったのかは分からなかったが、私と関口3曹は、この片桐由理なる人物に興味を持った。なぜなら、私と関口3曹が目撃した、現場から逃走していったバイクの人物は、女だったような気がしたからだ。  私たちがこの事を佐山氏や大月氏に話すと、2人共に、この片桐由理なる人物を調べてみることに同意してくれたのだった。  その夜、部屋に戻った私たちは、事件の資料を広げこの事件を再検討してみることに決めた。そして、あることに気が付いたのである。 ****************************************  最初にそのことに気が付いたのは、佐山氏だった。事件が発生したポイントを勝浦市の地図に重ねていくと、ほぼ同心円を描いていることに気づいたのである。  我々は早速、その円の中心に何があるのか調べてみることにした。そこには、ホテル<ブラック・プリンス>が建っていたのである。(写真D)  我々は、片桐由理なる人物の調査はひとまず置き、このブラック・プリンスを調べてみることにしたのだった。  翌朝早く、旅館を出発した我々は、早速ブラック・プリンスへと向かった。そこは、別荘地から4kmほど離れた県道沿いの場所で、周囲には空き地や畑が広がっているだけの寂しい場所だった。  我々がホテルに到着したときには、駐車場には車が一台もなく、ホテルのシャッターも降りていて、完全に無人のように思えた。我々は駐車場に車を止めると、ホテルの周りを調べてみることにした。  ホテルの裏手には小型のボイラー室があり、ボイラーの脇にあるマンホールの蓋の付近で、我々は非常にかすかな血痕を、発見することに成功したのだった(写真E)。我々は、このマンホールの蓋を持ち上げようといろいろと試みたものの、結局かなわなかった。  ボイラー室での血痕の発見により、このホテルには何かあると感じた我々は(特に私のルポ・ライターとしての勘がこのホテルが全ての元凶であると告げていた)一人、「不法侵入になるから」と反対する大月氏を、責任は私がとるからと説得し、ホテル裏口の鍵を壊してホテルの中を調査してみることにしたのだった。  ホテルの中は、きちんと片づけられていたものの、廊下の床の上などに薄く埃が積もっていたことから、1ヶ月近く閉鎖されたままの様子だった。電気の照明は全て落ちており、我々は、車の中から持ち出してきた懐中電灯を手にこの不気味なホテルの中を調べてまわることにした。  実際このホテルは、恐るべきホテルだった。ホテルの中のある部屋には、どこに続いているのかさえ分からない、暗いダストシュートのような物が隠されていたり、また、ホテル2階のある鉄格子のはまった部屋では、我々は全員部屋に閉じこめられ、天井のスプリンクラーに隠されていたガスの噴射口から吹き出す、致死性の猛毒ガスによって危うく命を落としかけたりもした。(これらの事実から賢明な読者は、1890年代にシカゴで起こったH.H.ホームズことハーマン・ウェブスター・マジェットによる「殺人城」の事件を思い起こすかも知れない)  我々が、ホテル2階のガス室から、命からがら逃げ出し、1階へと戻ってきた時のことだった。私と関口3曹は、1階の玄関ホール近くで人の気配を感じた。私たちは佐山氏と大月氏、それに震えている雄君をその場に残し、玄関ホールへと向かうことにした。  玄関ホールに着くと私は、こめかみに冷たい金属が押しあてられるのを感じた。そして「動かないで」と言う女の声も。  女は、私のこめかみに銃を押しあてたまま、 「ここで何をしているの」 と聞いてきた。私と関口3曹は両手を上に上げ抵抗の意志が無いことを示しながら、この女が現場から立ち去った女であり、片桐由理なる人物だろうと確信していた。  私は、そのことを彼女に尋ねてみたが、彼女は私に銃を押しつけたまま 「聞いているのは私よ、まず私の質問に答えなさい」 とにべもなかった。私は仕方なく今までのいきさつを話し、我々が敵ではないことを彼女に納得させた。彼女は、まだ警戒したような目つきは変わらなかったが、とりあえず私に突きつけていた銃は下ろしてくれた。  私と関口3曹、それに謎の女性の3人は、佐山氏らと合流する事となった。彼女は、自分が確かに片桐由理であることを認めると 「この事件は危険よ、あなた達はもう手を引く事ね」 と言ってきたのだった。しかし、すでに妹夫婦を殺されている佐山氏は、危険を覚悟しており、彼女の言葉にも動揺する気配はなかった。  無論、私も危険は承知の上である。思えば東北の雪男伝説に関するルポを書くための取材も、今回ほどではなかったにせよ恐ろしい危険に満ちあふれていたのだ。しかし、私の真実と報道への飽くなき魂の情熱は、命の危険をも顧みないほどのものだ。そのことは読者諸兄もよくご存じのことと思う。  結局私の情熱にほだされた彼女は、私たちがこの調査を協力して行うことに同意してくれたのである。  まず私たちが絶対に聞いておきたかったのは、拝 幻一郎なる人物が何者なのかと言うことだった。この質問に対する彼女の答は簡潔なものだった。彼女はやや疲れたような顔をして 「父よ」 と吐き捨てるように言ったのだった。  彼女の話によると、彼女の父、拝 幻一郎は、狂った異常な男で、必ず今回の事件に関わっているとのことで、彼女は父の蛮行を止めようと、決死の覚悟でここ勝浦に乗り込んできたとのことだった。  正直な話し、我々には何のことかさっぱり分からなかったが、彼女は、いくら尋ねてもこれ以上は、我々に話してくれなかった。 ****************************************  我々と片桐由理は、結局協力してこのホテルを捜索することになったのだが、(なぜなら、私のルポ・ライターとしての勘が、このホテルにもっと重要な事件の核心に迫る何かが隠されていると告げていたからである)  はたして、我々はさらに恐るべき発見をしたのである。  最初にそれに気が付いたのは、やはりこういった事件を過去に何度も扱ってきた私だった。私は、このホテルの従業員用エレベーターの緊急停止ボタンと係員呼び出しボタンの印刷が、共にかすれていることに気が付いたのだ。  これら2つのボタンは、共に頻繁に押すようなものではない。それが2つともにかすれているということは、そこに何かあるというサインだった。  私は、この2つのボタンを同時に押してみた。と、果たせるかなエレベーターは通常設けられている地下1階よりもさらに深く、秘密の地下室へと降りていったのである。  あとで調べてみて分かったことだが、このホテル<ブラック・プリンス>の地下に広がっていた地下壕は、旧日本軍が太平洋戦争末期に本土決戦に備えて作った、決戦壕だった。どうやら、拝 幻一郎はこの事を知っており(幻一郎は記録によると、旧日本陸軍軍医少佐で太平洋戦争末期に中国大陸に渡っていた)自らの目的のため、この忘れられた地下壕を改造して、恐るべき実験に使用していたようである。おそらく幻一郎がこの決戦壕の真上に建つブラック・プリンスを買い取り、「殺人城」に改造していたのも、最初から決戦壕の存在を知っていたからだろう。  私たちと片桐由理がたどり着いた秘密の地下壕は、まさに悪魔の実験場のような場所だった。そこには、床に魔法陣が描かれ手術台の置かれた実験室(写真F)や、幻一郎のものとおぼしき居室や、書斎などがあり、書斎には様々な医学やオカルト関係の書物が並べられていた。  大月氏によるとこれらの設備は共に、偏執狂のエセ科学的シロモノばかりでどれもこれも非科学的な戯言と妄想の産物に過ぎないとのことだった。  我々は、これらの部屋で実弾の詰まった45口径オートマチック拳銃1丁と、拝 幻一郎の日記6冊、陀厳教義式とタイトルの銘打たれた江戸時代の和綴じのオカルト本1冊、タイトル不明の魔術書の翻訳の写しとおぼしきノート1冊、幻一郎の研究ノート1冊、「レポートNo.2 夕泊麗子」と書かれた、古ぼけたファイル1冊などを入手することに成功した。  また、実験室の床には、ずたずたに引きちぎられた男物の衣類の残骸と、ぬらぬらとした気味の悪い粘液城の物質が残っていた。(写真G)  さらに、実験室の壁には直径70cmほどの大きな円形の鏡が掛けられており、驚いたことにその鏡は、片桐由理が近づくと突然「ぶーん」と言う高い音ともに虹色に輝きだしたのである。これにはさすがの彼女も驚いた様子だったが、大月氏によると何かのトリックだとのことだった。  実験室や居室、書斎などをあらかた調べた我々は、さらなる手がかりを求めて地下壕の奥へと進むことにした。さすがの私も、今まで目にしたものに恐怖を覚え、懐中電灯を握る手がかすかに震えていたことを白状しておこう。 ****************************************  地下壕の通路を奥へと進むと、我々は十字路へと行き当たった。ここで我々はどちらへ進むかしばし悩んだが、結論として右の通路を選んだ。なぜなら右の通路からは、何か厭な臭いが漂ってきたからである。  悪臭は、右の通路を進むたびにひどくなり、ついには吐き気を催すような猛烈な悪臭へと変わっていった。我々は、ハンカチで鼻を覆いながら臭いの元凶とおぼしき、部屋の前までたどり着くことに成功した。  そこから先のことは、私にはあまり詳しく書くことは出来ない。私もその時のことを詳しく覚えていないからだ。ただあまり詳しく覚えていないことが、私にとっては幸運な事だったと今でも思っている。  たしか、その扉を開けたのは佐山氏だったと思う。私は、佐山氏がその扉に手をかけた瞬間、うなじの毛が逆立つような感覚を覚えたことを今でもハッキリと覚えている。佐山氏は、扉を開けると猛烈な悪臭の漂う、真っ暗な部屋へ消えていった。  それから数秒後に部屋の中から恐ろしい絶叫が聞こえてきたのである。私はすっかりパニックを起こし、いきなり元来た道を駆けだしてしまった。確か後ろからは、けたたましい絶叫と、立て続けて起こる銃声、それに片桐由理が 「逃げて!! 早く逃げて!!」 と叫んでいる声が聞こえてきたと思う。私はもう、わき目もふらずに一目散に駆けだしていた。  気が付くと、私と関口3曹それに、大月氏と雄君は、ブラック・プリンスの従業員用エレベーターの中で、青ざめた顔で震えていた。  私たちが佐山氏を置いて、あの部屋から逃げ出してから、どのくらいの時間が経ったのか、まるで見当も付かなかった。5分か10分か、それとも1時間以上経っていたのか…ただ、エレベーターの中でじっと息を殺して、佐山氏と片桐由理が戻ってくるのをじっと待っていた。  それから暫く(その時は何時間にも感じられたが)すると、通路の方から何かを引きずるような重い音が聞こえてきた。  我々は生きた心地がせずに、すぐに逃げ出そうとしたが、身体が動かなかった。我々が凍り付いたようにじっと見つめる中に姿を現したものは……… (次号に続く) !キーパーの独り言(感想と反省)  と言うわけで、残りの後半部分は次号に続きます。実は、この日のセッションでは時間が足りず、結局ここまでで予定の9時を20分近く上回っていたため、慌てて片づけに入りました。  この時間が足りなくなると言うのは、実は私がマスタリングする、ほとんど全てのシナリオについて言えることで、毎回のように反省点に上がっていましたが、ふと考えてみると、どうやらこれは私のマスタリングに関してのクセの様なもののようです。  このクセについていろいろと考えてみたのですが、どうやら私のマスタリングは情景描写や、プレイヤー達に状況判断をさせている時間が長いように思えます。ですが私としては、これらは全く悪いものとは考えていません。  情景描写を削ったり、プレイヤー達から考える時間を強制的に奪ってしまうのは、<パラノイア>などの特殊なゲームか、特殊な状況(例えば後1分で爆弾が破裂するというような)を除いて、私は行っていません(あまり時間が掛かりすぎるのは別ですよ)  私なりにゲームについて考えてみたとき、やはり一番大事なのは、プレイヤー達に楽しんでもらうことであり、あわせてマスター自身も楽しむことだと思います。  従って情景描写を豊かにしたり、プレイヤー達に考えたり判断したりする時間を充分に与えることは、プレイヤー達にそのシナリオを充分に楽しんでもらうために必要なことだと考えています。  ゲームのシナリオというのは、いかにスムースに時間内に終わらせるかを競っているわけではありませんからね。(まぁあまり時間がだらだらと掛かりすぎて、かえってつまらなくなってしまうようでは困りますが…)  そんなわけで反省点としては、時間内に何とか無理矢理終わらせることよりも、いかに時間内に話の区切りの良いところで次回に続けるか。と言ったところでしょうか…  さて、今回のシナリオ「黄昏の天使」第1章”真紅の戦慄”は、わが国のクトゥルフ、ファンの中では半ば伝説となりつつある、あの(裏切り者)ホビージャパンから1988年に「クトゥルフの呼び声」用の公式サプリメントとして出された初の和製キャンペーンシナリオです。  このキャンペーンについてですが、このキャンペーンシナリオに対するクトゥルフ・ファンの反応は、肯定派と否定派に2分されているようです。私としてはどちらかと言うと………いや、やめておきましょう。  さて、プレイ内容についてですが上記に掲載されたプレイレポートは出鱈目のルポをそのまま掲載したものですので、力一杯、出鱈目がかっこよく活躍したかのようにデッチ上げ……もとい、脚色されていますので、その他の探索者達が活躍しなかったわけではありません。  と言うより、シナリオの都合上、出鱈目の存在はことごとく足を引っ張ります。まず、彼のような胡散臭いイエロー・プレス関係の人間がうろうろしていると言うだけで、警察からは必要な情報が一切もらえません。また、彼の名前の胡散臭さ故、どこへ行っても信用されません(その代わり彼には信じられないような言いくるめの技術がありますが…)  また、重要NPCである片桐由理は、マスコミ関係の人間を毛嫌いしているのです。これには、キーパーも参りました。何せシナリオの都合上必ずどこかで、探索者達と片桐由理を接触させなければならないのです。ほとほと困り果てたキーパーは結局、出鱈目のルポにあるような方法を採りました。  いずれにせよ、今回のマスタリングにおいては、話が停滞しそうになるとやや強引に、探索者達を事件に巻き込んでいくという形を取りました。  今回のプレイでは、探索者達がやや消極的だったのか、それともシナリオの作り方が悪いのか(私的には後者だと思います。何せシナリオでは、探索者達は夜毎に殺人鬼がうろうろする、勝浦の別荘地に泊まり込むはずだ、と書いているのですから…)なかなか事件が進展せずに、それがプレイ時間を延ばしてしまう原因となっていたようです。  次回からは、やや強引な展開を心がけたいものです。 !参加者の感想 出鱈目言太郎  クトゥルフやるのは2度目。元々、興味のあるジャンルだったので楽しくできた。キャラの名前や設定など、ちょっと悪ノリが過ぎたかな〜? と思うところもあるが、「TRPGはノリと面子が命!!」と考えている自分にとっては、これくらいで丁度良い。  話に関しては一言、物申すならば、「何をして良いのか分からない」状態がかなり多かった。  既製のシナリオであっても、GMなりの工夫を加えて欲しい。(そうじゃないと、話が先に進まん!!) 佐山千勝  導入部でのキーキャラ立候補したまでは良かったと思うのだが、他のプレイヤーとどう絡ませていくのかでいきなりつまずいてしまった。以前、知り合いになったジャーナリスト(出鱈目)に連続殺人の情報を横流しするということにして辛くも展開させることにしたが、その後をすべて出鱈目に任せてしまう形になり、悪いことをしたと思う。性格を真面目で非科学的なモノは多少興味はあれども…というように設定したつもりなので、簡単には探索者を死地に赴かせるわけにはいかず、プレイヤーがとりたい行動と探索者のすべき行動にギャップができ、動かしたいのに動かしたら不自然になるという状態に陥ってしまったようだ。話の展開が見えてシナリオ進行に沿うベストの選択が見えているにその行動ができないのも辛く感じた。現実の世界での対応を考え過ぎてプレイしてしまった感が強い。ゲームの世界はあくまでパラレルワールドなのだと考えて、もう少し現実世界とは違うノリで行動してしまっても良かったかなと今更だが思う。  本日のセッションが終わり反省をする段階において、今回の探索者の性格をふまえつつも上手に考え方を崩していく演技が見え始めたのだが…、わが分身の探索者は第1話終盤でほとんど死んだ状態となっている…。 大月太郎  普段TRPGでは遺跡の宝をあさったり、モンスターをぶち倒す事がほとんどだったので、ホラー物でゲームがどのように進行するのか分からなったが、新たな体験ということでとても楽しめました。でも、今回は、慣れていないとはいえシナリオの展開に関わる事があまり出来ていなかった事、神出鬼没の怪物の居場所をなかなか突き止められず、シナリオの途中がだれてしまった事、怪物の居場所を突き止めて怪物と対峙してピンチ!のところで時間になってしまった事、が残念でした。  特にこの後のシナリオの展開が気になる…。なんだか、怪物にあっさりやられて全滅してしまいそうな気もするが…。続くのかな? !プレイレポート (前回の続きから) (オカルト系雑誌”アトランティス”2000年8月号に掲載された出鱈目のルポより) ※文中にある(写真X)とは、アトランティスに掲載された際に添付されていた、出鱈目の撮った写真を指しますが、このレポートには紙面の関係上、割愛させていただきます。 ""”真紅の戦慄!!” 出鱈目 言太郎の衝撃ルポ第2弾 ""衝撃ルポ! 昨夏、勝浦市で起こった謎の連続殺人鬼の正体は、異次元から邪悪な魔道師によって召還された謎の怪生物だった!! ""ルポライター:出鱈目 言太郎  私と関口3曹、大月氏、雄君の4人は、勝浦市郊外にあるホテル<ブラック・プリンス>の従業員用エレベーターで、震えながら佐山氏と片桐由理が戻ってくるのを待っていた。  それから暫くすると、通路の方から何かを引きずるような重い音が聞こえてきた。  我々は生きた心地がせずに、すぐに逃げ出そうとしたが、身体が動かなかった。我々が凍り付いたようにじっと見つめる中に姿を現したものは、血だらけになってしまった佐山氏を抱えた、片桐由理の姿だった。  雄君は、半泣き状態で彼女に、佐山氏は死んでしまったのかと聞いていたが、彼女はただ頭を振っただけだった。  彼女と佐山氏がエレベーターの中に転がり込むと、我々はすぐさまエレベーターを動かし、地上へと向かった。  エレベーターが地上へと向かう間、私は床に横たえられた佐山氏の脈を取ってみた。佐山氏は血まみれで、顔は土気色だったものの、かすかに脈はあり、私はホッと胸をなで下ろした。  我々は、車に戻ると後部座席に意識を失ったままの佐山氏を寝かし、元陸上自衛隊員である関口3曹が応急手当をする間に、勝浦市民病院へと向かった。  勝浦市民病院に到着すると、佐山氏はすぐに集中治療室へと運び込まれ、われわれは駆けつけてきた警察官と医師達に、質問責めにされることになってしまった。  ブラック・プリンスでの事をそのまま話すわけにも行かなかったので、我々は適当に話を誤魔化すことにした。警官達はあからさまに信じていないような顔をしていたが、彼らも例の殺人鬼事件で忙しいらしく、早々に引き上げて行ってしまった。  佐山氏の容態は、意識不明の重体で、担当医の話では今夜が山だろうとのことだった。我々は、佐山氏に付いていようかとも考えたが、当面、面会謝絶が続くようで我々が付いていても何も出来ることはなく、仕方なく泣き続ける雄君を連れてひとまず旅館へ戻ることに決めたのだった。 ****************************************  ブラック・プリンスでの出来事と、それに続く警官達の質問責めから解放され、我々が小湊の旅館に帰り着いたのは、午後7時を遙かにまわった時刻だった。  皆疲れ切っていて、暫くは誰も口を利かず、だだ食欲もわかないままに夕食を口に入れた。  片桐由理は、この旅館に泊まり込むことにし、別に一部屋取ることになった。翌朝、我々は事件と地下壕から持ち帰った資料を検討することにして、その日は早々に床に潜り込んだのだった。  その日の真夜中、確か午前3時を少しまわった時刻だったと思う。私たちの泊まっている部屋に、フロントから電話が掛かってきた。疲れ切り、寝ぼけた頭にまず浮かんだのは佐山氏のことだった。 (まさか、佐山氏が亡くなったのでは…) そう思った私は、フロントに病院からの電話かと確認してみたが、フロントは病院ではなく、西園寺(仮名)さんと言う方からだ、と答えた。  私の知る限り、西園寺という名の知り合いはおらず、一体誰だろうと訝しく思った私はとりあえず、繋いでもらうことにした。  電話を繋いでもらうと、彼は、自分は佐山氏の教え子で、都内で司法書士事務所を開いている西園寺 義貴(仮名)と言うものだと名乗った。  西園寺氏の話によると、今日の午後9時頃に勝浦市民病院から連絡があり、病院の話によると、佐山氏の持っていた手帳に、もし自分に何かあったら彼に連絡を取るようにと書かれていたらしい。病院の関係者達から我々の連絡先を聞き出し、連絡を取ったとのことだった。  わたしは、西園寺氏に旅館の場所を教えとりあえずこちらに来てもらうよう告げて電話を切ったのだった。 ****************************************  翌朝、小湊の旅館で西園寺氏と合流した我々は、信じがたい話だと思うが、と前置きして西園寺氏に事のあらましを告げ、佐山氏が怪我をしたいきさつを語って聞かせた。  最初は信じられない様子だった西園寺氏だが、私が撮影しておいた写真を見せるとやがて私たちが嘘を付いていないことを確信したようだった。  朝食を終えた私たちの元に勝浦市民病院から電話が掛かってきたのは、午前11時少し前のことだった。医者は電話で佐山氏が意識を取り戻し私たちに会いたがっているとのことを伝えてきた。電話を切った後私たちはすぐに市民病院へ向かうことにしたのだった。  市民病院の病室のベットに寝かされていた佐山氏は、やややつれたような感じはあったものの、比較的元気そうだった。私は佐山氏に事のあらましを説明し、瀕死の佐山氏を救ってくれたのが片桐由理であることを伝えた。佐山氏は、深々と片桐由理に頭を下げ丁重な礼を述べると、私たちに自分は暫く入院することになりそうなので雄君のことをよろしく頼むと言ってきた。私はすぐにそれを請け負ったが問題はこれからどうするのかと言うことだった。 ****************************************  佐山氏の見舞いから戻った我々は、西園寺氏と片桐由理を交えて<ブラック・プリンス>から持ち帰った資料を検討してみることにした。我々がホテルから持ち帰った資料は、 拝 幻一郎の日記が6冊、拝 幻一郎の研究ノートが2冊、『レポートNo.2 夕泊 麗子』とタイトルの付けられた1冊の古ぼけたファイルだった。(写真A)  我々は手分けしてこれらの資料を調べてみることにし、その日の午後遅くには次のようなことが分かったのである。  元々、拝 幻一郎は旧日本軍の軍医少佐を務めていたらしく、医学の知識は豊富だったようである。彼は戦後中国大陸から引き揚げた後、何か家族に関わる事件をきっかけとして人類に対する異常な憎しみを持つようになり、魔術の力を使って自らが『偉大な力を持つ超人』となり、人類を家畜のように支配することを目標に『超人』の追求に没頭していたようである。  幻一郎は夕泊麗子なる人物(この人物は魔道師だったらしい)の残した研究資料を元に自らの研究を進め魔術と医学の技術を駆使して、ついに『超人』の力を得るために異次元から”ある存在”を呼び出すことに成功したようだった。この異次元から呼び出した怪生物は、餌として人間の血液が必要であり、それを確保するため旧帝国陸軍の決戦壕の真上に建つホテル<ブラック・プリンス>を買い取り、血液調達のためにブラック・プリンスに巧妙な細工を施し、訪かれる客を次々と”餌”にして行ったようである。  飼育の苦労にも関わらずこの怪生物の力は絶大で、この力を上手く利用することによって、超人の力を得ることが出来るだろうと考えていたことなどが分かった。  これらの資料に書かれているあまりの現実離れした異様な話しに、さすがの我々もとまどってしまったが実際に自分の目であのような光景を見ている以上信じないわけにはいかなかった。しかし、大月氏は「まるっきりのタワゴト。頭のおかしい誇大妄想狂が狂った妄想の元に書き上げた、ファンタジーだ」と主張した。私と関口3曹、片桐由理と雄君は恐ろしい化け物を見たことを大月氏に説明したが、大月氏は「それは、恐怖などによって精神がパニック状態に陥り、凶器を振り回す異常者を化け物と勘違いしただけ」と説明する。私たちは反論したが大月氏は「私はそんな化け物は見ていない。君たちはあの時まともな精神状態だったと言えるのか?」と再反論し、私たちには返す言葉がなかった。  しかし大月氏は、ブラック・プリンスの地下に危険な異常者が潜んでいることだけは認め、この事を警察に届けるべきだと主張した。それに真っ先に反対したのは片桐由理だった。彼女は怪物の正体について何か心当たりがあるらしく(彼女がなぜそのような知識を持っているのか、結局分からずじまいだったが…)怪物は人間の血液を吸わない限り目に見えない恐るべきもので、大勢の警官達が自分の巣にやってくれば簡単に逃げ出してしまい、次は東京のような大都会で犯行を繰り返すかも知れない、と主張した。  そして「これは私の父、拝 幻一郎が始めた事、これ以上関係のない人達を巻き込んで犠牲を増やすわけには行かないわ……父との決着は私が付ける、例え差し違えることになっても…」ときっぱりと言い放った。そして我々にこの件から手を引くように言ってくるのだった。  しかし、我々としても既にこの件に深く関わってしまっていることでもあるし、なによりか弱い女性を1人で危険な場所へ送り出すことには抵抗があった。そしてなにより反対したのは西園寺氏であった。西園寺氏は自分の恩師である佐山氏やその親戚の家族が襲われていることを持ち出し、既にあなた11人の問題ではない、と激しく詰め寄ったのである。 結局、この押し問答の末、彼女は我々と協力して邪悪な魔道師である拝 幻一郎と彼が呼び出した邪悪な怪生物を倒す決心を固めてくれ、最後には我々の決死の覚悟に心を動かされたのか、彼女は目を潤ませつつ「ありがとう」と言ってくれたのであった。  こうして我々は、片桐由理と共に彼女の父親である邪悪な魔道師、拝 幻一郎と彼の呼び出した邪悪な異次元の怪生物を倒すため、再びブラック・プリンスへと向かうことになったのだった。 ****************************************  翌日の午前中、我々は立花 雄くんを彼の叔父である佐山氏の入院する勝浦市民病院へと送り届けた後、一路ブラック・プリンスへと向かったのだった。正直に告白しておくと私は前日の夜、恐怖と緊張のあまり余りよく眠ることが出来なかった、それは私以外のメンバーも同様らしく、朝食の時も皆一様にあまり口を利かず、寝不足と緊張で青ざめた顔をしてもそもそと食事に手を付けただけであった。ただ1人関口3曹だけは例外でデザートのプリンを皆の分まで平らげ、プロテインを飲んで筋肉トレーニングを行うなどいつもと変わらない様子だった。  我々がブラック・プリンスの駐車場に到着したのは、確か正午近くだったと思う。ブラック・プリンスの周囲の林からは、蝉時雨が耳にいたいほど響いてきて表面上はいつもと変わらぬ単なるある夏の日の昼下がりのようだった。  ブラック・プリンスの駐車場には、驚いたことに薄汚れたカローラが一台止まっていた。我々は恐る恐るその車に近づいて中を覗き込んでみたが、車の中にはジュースの空き缶やファーストフードの包み紙などが乱雑に転がっているだけで、車の持ち主とおぼしき人影は見あたらなかった。しかし、私には長年のルポライターとしての経験から、この車の持ち主が誰であるかおおよその見当が付いたのだった。我々がブラック・プリンスの裏口からホテルの中にはいると、果たして私の予想は的中した。我々の懐中電灯の明かりの中に飛び込んできたのは、週間フレッシュの記者、天野大輔とカメラマン向田真一の変わり果てた姿だったのだ。(※編集部の判断でこの写真の掲載は自粛させていただきます) (多分、片桐由理の後を尾行(つけ)ていてこのホテルにぶち当たったんだな。それで我々がこのホテルを後にした後、スクープをモノにしようと入れ違いにこのホテルの中に入りバケモノに殺されたんだな…気の毒に) 私はすぐに彼らを襲った運命を理解することが出来た。だがしかし、我々もこのようになってしまう可能性が高いのである。ほとんど何の成算もなく無謀な挑戦を行うという充分に危険な運命に自分が今まさに踏み込もうとしていることがほとんど信じられなかった。  今になって思い返してみても、全く背筋の寒くなる思いにさいなまれてしまうのだが、一体何が私たちをこれほどまでに無謀で危険な行為に走らせたのかハッキリとは説明できない。それは陳腐な英雄願望でも名誉欲でもなく、また私たちが人類を救おうというような大それた義務感のようなものでもなく、ただ何かに引きずられるように無謀な挑戦に身を投じていたように思う。一つだけ理由を挙げるとすればそれは目だった。自分の父親という形を取った邪悪な運命と命を懸けて立ち向かおうとしていながら、それでいて静かに澄んでいた片桐由理の目だったのかも知れない。  とにもかくにも我々はブラック・プリンスの地下に造られた、邪悪な魔道師、拝 幻一郎と幻一郎の呼び出した邪悪な異次元生物の待つ旧日本軍の決戦壕へと向かったのだった。 ****************************************  ブラック・プリンスの従業員用エレベーターから地下へと向かった我々は、これから待ち受けるであろう危険な運命を予感して、全員が無言でただエレベーターに揺られていた。<ガーン!!> (!!) 突然の轟音と共にエレベーターが左右に大きく揺られた。 <ガーン!!ガーン!!> 2度3度と立て続けにエレベーターが揺さぶられる。我々は突然のことにパニックに陥りかけていたが、半分だけ残っている妙に落ち着いた理性の部分が (くそっ!待ち伏せか!) と、事態を冷静に分析していた。6度目の轟音と共にエレベーターが大きく揺さぶられた途端、我々は突然重力を失った。 (!!、ワイヤーが切られた!バケモノめ!) 幸いエレベーターは、かなり降下していた後だったので、着地の衝撃によって大きなダメージを受けることはなかったが、それでも急激に落下していく感覚と轟音と衝撃が地面から突き上がってくる感覚は今思い返しても背筋が凍り付くような体験だった。  お互いがお互いに折り重なるようにしてエレベーターの床に倒れ込んだ我々は、すぐさま立ち上がると何とかしてエレベーターの扉をこじ開けようと扉に殺到した。我々が扉と格闘している間もエレベーターの天井にあるメンテナンス用ハッチからは、何かものすごい力で無理矢理にこじ開けようとする音が我々の耳に飛び込んできていた。やがて金属のひしゃげるような音と共に、何かぬらぬらとした物質が無数にはいずるような音が私の耳に飛び込んできた。私は思わず天井を見上げたがそこには何も無かった。ただひしゃげて隙間の開いたメンテナンス用ハッチがあるだけだったが、しかし確かに無数の触手のようなものが我々の新鮮な血液を求めてまさぐっているゾッとするような音が私の耳に飛び込んできているのである!  私は全身の毛が総毛立つような恐ろしい恐怖に囚われそうになったが、その刹那エレベーターの扉が開いたのだった。私は気が付くと一目散に薄暗い通路へと駆けだしていた。 ****************************************  転がるようにしてエレベータを出た我々は、姿は見え無いながらも我々を追ってくる恐るべき異次元からの吸血鬼から逃れるため、ただめくらめっぽうに広大な旧日本軍の決戦壕の中をうろつく羽目になってしまった。この決戦壕は当初我々が想像していたより広く、食料貯蔵庫や燃料庫などが当時のままに残っていたのには私自身も少々驚いてしまった。(写真B、C、D)  しかし、我々がいくら部屋に入ってみても肝心の拝 幻一郎の姿はどこにも見あたらなかった。すると片桐由理が恐ろしい推測を口にした、おそらくあの怪物が父、幻一郎だろうと。  彼女の推測によると、おそらく怪物を呼び出した拝 幻一郎は、怪物の力と身体能力を自らの中に取り込もうとし、逆に怪物に取り込まれてしまったのだろうとの事だった。いつもならこんな仮説を鼻で笑って取り合わない大月氏もさすがにこれまでの事実を見て認めざるを得なくなったのか、それとも恐怖と疲労で反論する元気もなかったのかただ黙って乾いた笑いをあげるだけだった。  その仮説が当たっているにせよ外れているにせよ、我々が地上へ戻るための唯一の手段であるエレベーターは例の怪物によって破壊されてしまっており、例え我々が怪物を倒せたとしても、我々は地上に戻るための手段を考え出さなければならなかった。そのため、我々は見えない吸血鬼から逃れながらも地上へと戻る手段を探して、片っ端から扉を開けてまわった。そんな我々の前に他の部屋の扉とは全くタイプの違う、巨大な鋼鉄製の扉が現れたのである。  我々がその扉をくぐり部屋に入ったのとほぼ同時に、ものすごい力で鋼鉄製の扉が開かれたのである。我々はとっさに扉に体当たりを食らわせ5人がかりですんでの所で扉を押し戻すことに成功したのである。最後に我々が扉の隙間を閉じるときには、無数の触手とおぼしき目に見えない物体が、扉を押さえる我々に襲いかかってきたのであるが、なんとか扉をしっかりと閉じ鍵をかけることに成功したのである。  しっかりと閉じられた扉の向こうでは、ものすごい力で扉を叩く音が鋼鉄製の扉を通して部屋の中に響き渡ってきた。 (これで少しは時間が稼げるだろう)  少しだけ落ち着いた我々が改めて部屋の中を見渡してみると、部屋の中には大小さまざまな木箱が無数に安置されていた。我々が木箱に近づきほとんどかすれてしまった焼き印を見てみると <−☆−帝国陸軍 甲種弾薬箱 火気厳禁> と書かれているのがどうやら読みとれた。  我々が木箱の蓋を開けてみると、60年近い年月のためやや劣化してしまってはいるものの、この区画全体をゆうに吹き飛ばすことが出来るだけの量の弾薬がしっかりと収まっていた。  と、部屋の奥を調べていた由理が我々を呼び集める声が、部屋中に響き渡るバケモノが扉を力任せに叩く音を圧して我々の耳に飛び込んできた。何事かと我々が駆け寄ると彼女の前の壁の一部が、隠し扉になっていたらしくぽっかりと口を開けていた。扉の向こうからはこの地下壕全体に漂っている澱(よど)んで饐(す)えたような臭いの空気ではなく、新鮮な空気が流れ込んできていた。かすかに潮の香りがするところをみると、どうやらこの隠し通路は海に繋がっているようだった。 (ここから外に出られる!) 我々全員がそう考えた。ただ一つの問題は、扉の外にいるあのバケモノをどうするかと言うことだったが… 「多分ここから外に出られるわ。みんな早く逃げて!」 そう言ったのは他でもない片桐由理だった。怪物が扉を叩く音は1分ごとに大きくなっていき今や金属のひしゃげるような音まで我々の耳に飛び込んできていた。 (!!、そんな馬鹿な鋼鉄製の扉が破られるなんて!) 我々はすぐさま隠し通路に飛び込んだ。しかし約1名動こうとしない者がいた。片桐由理である。 (まさか…) 私の脳裏に今まで漠然と感じていた考えが、急激に形を取って浮かび上がってきた。 (あの目…あの死を覚悟していて、それでいて静かに澄んでいたあの目…あれは…諦めと絶望だったのだろうか?…)  私は今でも時々、この事件のことを夢に見て悲鳴を上げて真夜中に飛び起きることがあるが、あの片桐由理の目を思い出すとなぜだか恐怖に蝕まれた私の心が落ち着いていくのを感じることがある。  なぜだろう?あの時、片桐由理の目の奥にたゆたっていたあの感情は一体何だったのだろうか? 私には未だに結論のでない大きな謎だが、いずれにせよ私は今まであんな目をした人間に会ったことがなかった。そして、おそらくこれからも二度と再び会うことはないだろう。  この時、西園寺氏が必死に由理を脱出させようとしていたのを記憶している。おそらく彼は彼女に好意を抱いていたのだろう。しかし彼女は寂しげにかぶりを振っただけだった。「今ここで父との決着を付けるわ。さ、早く逃げて…短い間だったけどあなた達に会えて良かった。あなた達は、ともすると重圧で押しつぶされそうになる私が最初に、そして最後に出会った一緒に重荷を担いでくれる唯一の人達だった…でもいつまでも甘えていられない。これは私の使命だから……私に協力すると言ってくれたとき、私は反対したけれど本当はすごく嬉しかった…ありがとう」 彼女はそう言うと、西園寺氏にそっと口づけをし 「さよなら」 と一言だけ言うと、隠し扉を閉じたのだった。半狂乱になりながら扉を開けようとする西園寺氏を私と関口3曹が無理矢理に引き離し、半ば引きずるようにして通路を10分ほど進んだときのことだった。  半ば予想していたことであったが我々の背後から地を揺るがす轟音と共に地響きが起こり隠し通路もバラバラと崩れ始めた。必死の思いで通路を走り抜け、光の射し込む出口へと転がるようにして駆け込んだ我々の目に、蒼い海と夏の終わりの夕日が飛び込んできたのだった……… 終 !キーパーの独り言(感想と反省)  いかがでしたでしょうか?出鱈目言太郎の衝撃ルポ”真紅の戦慄!!”は。いやーまったく長かった。何が長かったかって、プレイレポートが長かった。途中で何度も挫折しそうになりましたからね。しかし、このレポートを読んで少しでも山桜会会員様方が楽しんでいただければと、夜なべして頑張りました。  さて、このクトゥルフのシナリオ”真紅の戦慄”ですが、前回も解説したとおり、ホビージャパンから1988年に出版された、初の和製クトゥルフの呼び声キャンペーン・シナリオ「黄昏の天使」の第1話として登場するものです。この後、探索者達はこの事件を発端として世界を揺るがす大事件の渦中へと放り込まれていきます。この真紅の戦慄の後探索者達は日本の影に巣くう邪悪な目的を持った秘密結社と対決していくというストーリー展開で、日本全国を舞台に活躍するというキャンペーン・シナリオです。  しかしながらクトゥルフモノのシナリオの常として、例え探索者達が世界を救う英雄的行いをしても誰にも認められません。例えその事実を公表しても(出鱈目のルポのように)決して誰にも信じてもらえず、詐欺師扱いされるか狂人扱いされるかが関の山です。なんだか何の救いもないようなゲームのようですがまさにその通り。元になったラヴクラフトの小説(創幻推理社文庫からラヴクラフト全集1〜6が発売されています。興味のある方は読んでみてください)は、まっっっっっっっったく救いのない、陰々滅々とした絶望的世界を描いた作品です。そりぁもうこの”真紅の戦慄”なんぞ大甘のチョコレートパフェに感じるくらい絶望的なホラー小説です。(私は個人的にものすごく気に入っています。別にファンタジーなどが嫌いなわけではないのですが、甘いモノは甘く、辛いモノは辛く、が私の信条ですので)  まぁクトゥルフの世界の説明はこれくらいにして(興味のある方は、山桜会総裁の私まで)実際のプレイの解説に入りましょう。前回の反省点でも挙がっている「強引な展開」についてですが、力一杯強引に今回は展開させていただきました。例えば、待ち伏せにあってエレベーターが破壊され、探索者達の退路を断つなどキーパーの強引さと陰険さがもろに出た展開でしたね。(笑)  全体的にはまぁ過不足無くマスタリングできたかなぁと言うのが感想ですかね。やるべき事はやった。時間も問題なし。と言ったところでしょうか。  実は、この日は前回の続きが2〜3時間程で終わってしまったので、第2話”ブルーシャドウ”を始めたのですが、こちらは時間が足りなくなってしまって、途中で終了してしまい今現在に至るも続きは行われていません。(たぶんもうやらないと思いますが…)続きが行われておらず中途半端なことと、紙面の関係上今回のプレイレポートには”ブルーシャドウ”については全く触れていません。  そんなわけでプレイヤー達の感想では、やりかけの”ブルーシャドウ”についての感想も混じっているかも知れませんが、その辺はあらかじめご了承ください。 !参加者の感想 佐山千勝/西園寺義貴  前回のキャラは第一話終了時に大怪我をしてしまい死ぬかもしれない状態なので、続きを始める前に新キャラを作成しておくことになった。その時点でキーパーから「このキャンペーンはシナリオの創りがラブロマンスだからそれに絡めるようなキャラを作るように」とのお達しが下された。マジっすか! キツイっす! 新キャラを動かし始めたものの、新キャラを動かしあぐねてしまっていた感じだ。新しい探索者の個性を考えながらプレイしたがなんかしっくりこず、いまいちシンクロができてないからか、のれてない感じのまま本日は終了となる。話しも少しずつ展開し始め、勾玉、鏡、剣など日本書紀ネタみたいなものが見え、黄昏の天使もいよいよキャンペーンの中核に入り始めた感じで今後どうなっていくのかが楽しみではある。しかし、自分の探索者が立っていない感じなのでその辺をまずどうにかしなければキーパーをしている総裁に申し訳がたたない。果たしてラブロマンスできるのか今のところ疑問であるが努力はしてみるつもりだ。 大月太郎  今回のシナリオにおいて、前回はあまり上手くキャラを動かすことができなかったので、今回はもっと積極的に行動したいと思っていた。しかし、前回よりはマシだと思うが今回もあまり重要な場面での活躍が無かった。「やはり、このゲームで重度のオカルト不信のキャラは(シナリオに入り込みにくくて)難しいかなー、いっそのことオカルトの信者に切り替えようかなー」、と頭によぎったが、このキャラのアイデンティティを崩したくないため、結局このキャラでは科学の狂信者を続けようと考えを改めることにした。そのためには、このキャラを上手く演じることが必要だと思いました。 ""※このプレイから13数年後の2014年、「やらないのももったいない」ということで、総裁KPで『黄昏の天使』は全話プレイされた。ただ、この当時プレイしたプレイヤーが一人しかいなかったので、探索者は全て新しく作り直し、最初からのプレイとなった。 "" 約一年にわたったこのキャンペーンは「4D6で出目がすべて1」「きっかりAPP0により発狂自殺事件」等の数々の伝説を作りつつ、全話終了した。